だいちゃん

羊の木のだいちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

羊の木(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督登壇試写会にて

予告の時点で元殺人犯の6人が集まる街でのお話と分かってはいましたが、ドキドキハラハラさせられっぱなしでした。

まず、6人の方がかなり個性的に描かれているので、より月末の普通の人間らしさというものを感じました。1番私たちに近い立場というか私たちが成り得る役所というか。


そして同じ元殺人犯でもこれほどまでに出所後の生活が異なるのかと一歩引いて鑑賞してしまいました。愛を見つける者、厚生していく者、ひとりで生きていく者、映画では6人のこれからを暗示させるようにして終わっているので、こちらが勝手に想像して考えて見るのも面白いと思いました。


個人的には月末役の錦戸亮さんを見に行ったので、ベースとギターのシーンや魚が美味しいですよといいつつ自分はカレーを食べているシーンなど、ファンであるがゆえに印象に残っているシーンがたくさんありました。


映画が始まってから常にぞわぞわさせられていましたがラストの海に飛び込むシーンでいっきにもっていかれました。
2人のうちどちらが助かるかというのももちろんハラハラしましたが、のろろ様が落ちてくるというのは誰も想像してなかったのではないでしょうか。


飛び込む前、果たして宮腰は月末のことを友達と思っていたのか市役所職員として思っていたのか。どこかで友達でありたいと思っていたから死ぬまで首を絞められなかったのかなと私は解釈しました。


上映後の監督のお話でエンドロールの海に宮腰が泳いでいるのが映っていてほしいとおっしゃっていましたが、私はあのまま死んだことにしておいてほしいと思いました。(生きていたら恐ろしい…)


移住者を受け入れてから月末の日常が崩れていって大混乱しているはずなのに最後はラーメンと言葉を交わしていてここで平和なシーンだなと思いましたが、そのあとの月末の表情でラーメンのことだけでなく同時にあやが街に戻ってきた頃も思い出しているようにもとれました。そこは錦戸さんの表情だけだったので受け取る側次第かなと。


観終わって最初に私が感じたのは、仮に周りに元受刑者がいたとしたら自分はどう対応するのだろうということでした。
月末は優しく誰かに接するときと同じように対応していましたが、私は怖くてできないと思います。


さらに主題歌の Death is not the end の意味どうとるか。死を絶望と捉えるか希望と捉えるか。最後の最後までまで考えさせられる映画でした。


今後この映画と同様に元受刑者を受け入れるプロジェクトが行われるとしても私はそれを知らずに普通に生きていきたいと願うばかりです。

長々と失礼しました。
だいちゃん

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