メタ壱

羊の木のメタ壱のレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
3.2
【羊の木】
過疎化対策により、6人の元受刑者を受け入れる事になった港町・魚深。
そんな彼らの担当になった役場職員の月末(つきすえ)は彼らとの交流を重ねていくが、「のろろ様」のお祭りで6人が一堂に介した事により少しずつ運命の歯車が狂い始めて行く…というサスペンス。

まず6人の受刑者の役者さんが素晴らしかったです。
松田龍平さん、北村一輝さん、水澤紳吾さん、市川実日子さん、田中泯さん、優香さんが演じるそれぞれの元受刑者のキャラクターが持つ怪しい雰囲気、危うい雰囲気が最大限に表現されていました。

また、作品全体に漂うジメジメとした不穏な空気が、一見淡々としたストーリーの中に途切れない緊張感を生んでいます。

人は人を見る時、何を根拠に相手を判断するのでしょうか?

今まで普通に接していた相手が殺人事件の元受刑者だと知った瞬間から警戒心を強くする月末。

そこから彼らの言動が怪しいものに見えてしまう。
それは主人公の月末だけでなく、映画を観ている僕たちの心も巻き込んでいく。

それは人間としての危機回避の本能ではあるものの、それが刑期を終え更生した人達の社会復帰を妨げる事に繋がっているのかもしれません。

しかし、この世の中には本当に危ないヤツも潜んでいる……。

「のろろ様」信仰の不気味さも相まって疑心暗鬼が疑心暗鬼を呼ぶ、静かで不気味なサスペンス作品です。
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