samandabadra

ムーンライトのsamandabadraのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.0
静かな映画
一つのシーンを覗いて、大きく場面が展開するということが起こらない
それだけに、それぞれの役者の表情や身体的な表現がきめ細かくあったように見えた。
二時間近い映画であったが、最後、意外にするっと終わってしまった時にはもう終わったのと感じられた。
LGBTであり、黒人が主人公であるというテーマ自体は恐らく21世紀にならなければ、ここまでの映画にならなかったはず。ただ、淡々と動いていく時間の中で、その人たちがどう生きていくかに注目が行く。
大きな変化が起こらないと書いたが、劇的な変化が起こるべきシーンは、わざとスクリーンに出てこず、終わったこととして語られるなどして避けられているのも、人物の小さな動きに目が行くように創られているのだとすれば、構成の妙である。
主人公が成長していくにつれて、体つきは変わってゆくが、その性格が一貫して同じものであるというのは、よほどその人物像が作りこまれていないとできないだろうが、同じ人が成長するとこうなるかなと思わせるしぐさがあったりするのも素晴らしい。
印象に残るシーンは最後のレストランのシーンという人もいるかもしれないが、どちらかというと個人的には、第1章(?)の子供の時、親しくなった麻薬の売人の元締めと海に出かけるシーンだろうか。元締めの人物が言われる月のもとではあるものが「ブルー」に見えるというのが何を象徴しているのか、色々と考えて話し合ってみたいところ
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