Hario

ムーンライトのHarioのネタバレレビュー・内容・結末

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【2017年劇場鑑賞作品28作目】
(プレミアムボックスシート)
なんて美しくて、強くて、humbleな作品。シャロンを演じた3人ともが素晴らしい!眼差しがとても良い!1部の弱々しいいじめられっ子のリトル、2部の葛藤する高校生のシャロン、3部の変化した成人のブラック。

成人したシャロンを演じた俳優さんが少し50CENTを優しくしたようなルックスで、めちゃ好み!鍛えててムキムキ。だけど中身はあのシャロンなの。その繊細さがちゃんと映し出されてて、胸を掴まれる。とにかくケヴィンを見つめる眼差しが愛おしくて愛おしくて。

後半からとにかく涙が止まらない。シャロンの美しさ。色んな考えが頭を巡る。鑑賞後にどんどん沢山の思いが溢れ出してきた。

この作品は、黒人のゲイの男の子を巡る話を通して、観客が持つステレオタイプな考え方に問いかけているように感じた。私たちは黒人の男性に対してどんな印象を抱いている?なぜ同じ黒人の少年たちが彼をいじめるのか? 私たちは生きてきた人生で得た知識や情報から"偏見"を持つ。私たちが培ってきた"常識"とは一種の"偏見"だと思う。普段生活しているとあまり考えない事だ。特にここ日本では、アメリカほど人種が混在しているわけでもなく、多くの人々が未だに"狭い常識の中"で暮らしている。例えばLGBTQへの不理解や結婚して子供を持つ事が当たり前という考え方、男らしく、女らしく、、、等々。ごくごく普通に何の悪気もなくその常識を当たり前と思って生きている人が多いと思う。

In Moonlight black boys look blue.
あなたが見ているモノは、違う側面があるのかもしれないよと示唆してるように感じる。

近年取り沙汰されているLGBTQの事、人種問題の事は、私たちに別の常識がある事を教えてくれている。そしてその事を扱ったこの映画が、アカデミー作品賞に選ばれて世界でこの日本で注目されて、多くの人が観るきっかけになった事に喜びを感じずにはいられない。黒人しか出てこない、ゲイの主人公の映画を満席の日本橋の映画館で観ている事に、世界が変わったと感じた。

自分の生き方は自分で決めていいんだ。とても心が自由になる作品だ。「映画館を出る時には、人生が変わっている」なるほどそういうことか。
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