Yoshishun

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.5
公開前から叩かれに叩かれまくったので、何もかもドン底からのスタートになり興行的には大コケしてしまった、2017年最大の事件。タイトルにもある通り、シリーズ化を狙ったにもかかわらず、続編の話が白紙になったのも記憶に新しいところ。

しかし、原作未読の自分にはそんなに悪いとも思わず、ある程度世界観を理解するには丁度いい内容のように思えた。というのも、原作を知らなくてもあの絵柄や雰囲気を100%再現するのはそれこそ不可能に近いし、なおかつ日本人の設定なので海外での映像化も厳しい。何をとっても良いとこなしなので最初から負け戦確定だったのだ。

指摘にもある通り、やはりコスプレ祭には違いないし、キャラクターの存在意義などには問題もある。特に役者のコスプレ感は凄まじく、これならコミケや海外イベントでのファンによるコスプレの方が完成度は高い。丈助は頭にフランスパンが乗ってるし、承太郎はシワだらけで髪がおかしい。主人公となるジョジョファミリーがこの有り様じゃ叩かれても仕方ない。

とはいっても決して全てが酷いわけでもない。

水のスタンドであるアクア・ネックレスを筆頭に、スタンドの映像は邦画にしては中々の出来映え。妙にアニメ感のあるビジュアルには違和感があるものの、それでももし現実にスタンドが存在したら、こんな感じなんだろうという映像にはなっている。人によってはダサいと思うだろうが、スタンドの実写化としては申し分ない。

また世界観の説明という点では、漫画のようなオーバーリアクション、効果音の書き出し、顔面演技といった、実写でやると絶対に浮いてしまう演出を極力排除したことにある。この原作には欠かせない要素を敢えて排除したことが、逆にこの微妙に再現されたジョジョ映画にはうまくマッチしてしまった。

まあ評価できる点はあるにはあるが、面白いかどうかはまた話は別だ。丈助以外のキャラの掘り下げは中途半端だし、明らかにプロローグという位置付けにされている。興行的には大コケしてしまい続編はかなり絶望的だが、ここは本シリーズ最大の敵である吉良の実写化も見てみたいところ。見に行きはしないけど。
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