こんなにかっこいいヒロイン、他にいるだろうか。
緻密な戦略を企てる聡明さ。敵も味方も欺きひたすらに「勝ち」に拘る冷酷さ。かと思いきや弱さと脆さも失っていない女性らしさ。人間離れしているけれど、人間らしいヒロインに終始圧倒されっぱなし。
息つく間もない怒涛の展開に食らいついていくと迎えるあっと驚く結末。
特筆すべきはヒロインの台詞。
「キャリアを捨てる方が命を捨てるよりましよ」
これが何よりの「激震」だった。
ロビイスト。
政治に疎い現代の若者(もう若くはないかしら)故に、初めて聞く職業だったけれど、人の欲望(が全てではないだろうけど)とはこんな仕事を生むものか…とついつい偏見の目で見てしまった。
そして、私はこれまでも、これからも、社会と同じ方向を向いていきたい、なんてささやかな仕事への信念を再認識していたから。
だからこそ、ラストのこのセリフ!ヒロインの信念、鳥肌モノでした。
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政治モノと聞き敬遠していたけれど、意外にも専門用語は少なく、理解しやすい内容だったのが嬉しかったです。
途中、やや中だるみするもののあっという間に駆け抜けた2時間でした。
そしてつい先程、監督が大好きなマリーゴールドホテルの方だと気付き。こんなシャープな作品も撮るんだ、と驚いたのでした。