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女神の見えざる手のinuのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.7
ロビイストという米国の政治を大きく揺さぶる存在に焦点を当てるが、大きな主張は「政治家による政治家のための政治」への批判。ここで議題に上がる銃規制の問題は知性のある人であれば誰もが賛成し、直ちに施行されるべき法案であるにもかかわらず現実世界においてもなかなか進まない。映画には直接出てこないが、背景にはNRAとの癒着や貧困で知的でない層の支持を得るためである。つまり、選挙で票を得るための政治となっている。NRAといった圧力団体で言えば、日本の与党自民党の支持母体の一つであるカルト団体「日本会議」はこれに似た知的程度の低い話題を提供してくれる。選択的夫婦別姓制度導入の是非など、知性のある人間は皆口を揃えてyes!というはずであるが、与党自民党はこれに反対する。立場を示さない狡い議員までいる始末だ。この背景にはやはりカルト団体である日本会議の政策実現を優先する動きがあると観られ、正気の沙汰ではない。安倍政権のほとんどの議員はこのカルトに所属している。以上のような国内情勢を鑑みてもやはり『女神の見えざる手』は、政治の腐敗の本質を浮き彫りにした政治劇の名作といえよう。他人事ではなく、自分の身の上に起こっているやも知れない恐怖を感じながら観ると臨場感が得られると思う。
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