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スウィート17モンスターのmaiのレビュー・感想・評価

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)
4.5
こんなにも上手く10代の痛さと純粋さを描いた作品って凄く少ないと思うし、過去の自分に刺さりすぎて、ヘイリー・スタインフェルドと一緒になって落ち込んだり喜んだりしてしまいました。笑
グッサグッサと自分に刺さりまくる映画だけれど、心にも残る映画で、10代・20代の人には是非にも見てほしい映画です。

10代…というか高校くらいの頃なんですかね、なにか上手くいかないって時がある気がします。理想はあるのにそうはなれないって分かってしまってるし、それ分かってるって本格的に気付きたくはないから頑張ろうとしても空振りで終わってしまう…みたいな。そこで諦めがつくか、自己嫌悪に陥るかは人それぞれだけれど、他人の持ってるものが全て輝いて見えて、その人の暗い部分には無意識的に目が行かなくなってしまうし、逆に自分の暗いところはすごく目について、長所的部分には気づけなくなってしまう。
それを上手く表してるのかヘイリー・スタイルフェルド演じるネイディーンでした。
初まりは「コントかよ」って突っ込みたくなるようなもので、兄と親友のベッドシーンに出逢ってしまったこと…しかし、自分に持ってないものを持つ兄のことをコンプレックスに思ってるネイディーンは親友に八つ当たりとも取れる態度を取ってしまって、挙げ句の果てに絶交してしまいます。
すぐさま彼女は自分のやってしまったことを後悔するわけですが、謝るほどの勇気は持ち合わせてないわけです。なんだか、ここが等身大の10代って感じで(変な表現だけど)好きでした。その場の勢いと感情で突っ走っちゃう感じも、本当は自分がただ意固地になってるだけだって分かってるところも…こじらせちゃった女子って感じで。すごく自分自身にも刺さるシーンだけれど、そこが良かったです。
そして、気の合う(趣味が映画って共通事項ある時点でアーウィンがネイディーンの相手であるのは明白だけど)男の子がいても、憧れの男の子と何とか関係は持ちたいってところも。ちょっと背伸びして、カッコいい人達とつるみたいって気持ちも凄く分かるからこそ…こじらせてるなぁって思いつつ、わかりみが深すぎて…ともなりました。笑
そして、最後「私ったら自意識過剰で…」って言葉に「からかったんだよ」ってすかさずフォローを入れてくれるアーウィンがイケメンすぎて。プールの場面でちょっと暗い雰囲気になったところに「君はイヤな女だ」みたいな曲を入れてくれたところもイケメンすぎました。

とにかく何もかも空回りしてしまうネイディーンを描いた「こじらせ系女子」を描いた作品なのですが、そのこじらせ方が本当にリアルだし、キャラに対して愛しさまで感じるくらいなので…いろんな人に見てほしいなぁと思います。

あとはちょっとレトロな感じのビビッドな世界観も好きでした。まず、ヘイリーのちょっとダサい?って感じのファッションも好きだし、小物はいちいちビビッドで可愛いし(黄色の自転車や青々としたプール、遊園地、鮮やかなドーナツ屋…)、サブカルっぽいけど凄く好きな世界観でした。
そして、こじらせ系女子をやってるヘイリーがすごく可愛い上に演技が上手くて。本当に好きでした。歌手のイメージが強かったけれど(純粋に私が彼女の歌が好きでファンになったってだけだけど)、やっぱり女優さんなんだなぁと思いました。あんなに可愛くってスタイルもいいのに、こんなにもダサい役が出来ちゃうし、それが妙にハマってるんです。

ただ!一言だけ言いたいのですが、親友と兄は軽率すぎませんか?笑
せめて…せめて、親友とわいわいした夜にその兄とヤるとかじゃなくって、元々クラブとかで親交があって〜とかの流れの方が、親友&兄カップルにも感情移入できたのになぁと思いました。最後の方はお似合いカップルになってたけど、始まりを思い返すと、結局親友が寝てる家で一晩の関係でヤっちゃったカップルなわけで…私が潔癖すぎるのかもしれないですが…。笑

教師役の人、どこかで見たことある….って思ってたらスリー・ビルボードの署長!
mai

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