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ジェーン・ドウの解剖のONEのネタバレレビュー・内容・結末

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

外傷の無い美しいジェーンドウ(身元不明遺体)の検死依頼をされた主人公親子。その遺体を露わにしていくと常軌を逸した状態である事が判った。更なる検死により死因を探っていくと、次第に謎の怪現象に見舞われてゆき……な話。
映像、演出は満点。寒色を基調とした無機質な空間が主で、ジェーン・ドウの肢体を一層妖しく艶かしく際立てています。
こういった解剖シーンを実際に見たことがある方は少ないのではないでしょうか。かくいう私もその一人で、当たり前と言われれば当たり前の事なのですが、とあるシーンで''死体の一部位(顎や瞼)を少し動かして手を離しても元の位置に戻らない''といった描写を見た時、妙にそれを生々しく感じ、普段ホラーやスプラッター映画を怖いとは思わぬ私でも不思議と不穏な気持ちにさせられたものです。
しかしやはり極め付けは死体役のモデル、オルウェン・ケリーの美貌にあるのではないでしょうか。傷一つない滑らかな身体と派手過ぎない端正な顔立ち。人形のような彼女は台の上に乗せられただただ横たわる……。この蠱惑的な彼女を見て、背徳と畏怖を感じ得ずにはいられませんでした。この映画の肝はそれにあると私は思っています。
さて、話が逸れてしまいましたがビジュアルはこの通り花丸満点をあげたい程です。
といいつつストーリーも中々の出来ではあります。中盤までは只管解剖を進めてはこの不可解な死体の死因について仮説を立ててみたり何だり、あれも違うこれも違うと必死に切磋琢磨する親子の姿に目が釘付けになっていました。それ程までの気迫がこちらに伝わってくるテンポの良さなのです。
然し乍ら中盤以降、解剖を進めていると何かと怪奇現象に見舞われます。ブレーカーが落ちたり、飼い猫が惨殺されていたり、エレベーターが勝手に動き出したり……。
ここまではまだ予想の範囲内(というかあらすじにも書かれていた事ですので)でしたが、終盤から一気に信じられない方向に。
突然遺体安置所から全ての遺体が無くなり?かと思いきや冒頭で出てきた遺体が歩き回って?そしてまさか依頼された身元不明死体は実は生きていて?しかも魔女で?遺体が歩いていたのは魔女が霊媒能力を駆使していたからで?傷つけられたら小さな傷一つ見逃す事なく復讐する?といったぶっ飛び設定に走ります。
そしてラストは父が解剖済遺体の身代わりとなり死亡、息子も脱出を試みるも後少しの所で死亡してしまいます。
結局魔女の詳細は分からぬまま(セイラム魔女裁判についての言及がされていたとはいえ)。そうしてまた遺体は別の場所へ移送され、同じ悪夢を延々と繰り返す……といった内容が全てになります。
ラストの肩透かし感は少々否めませんが、全体の評価としては良し。
推理や謎解きのドキドキ感がお好きな方に是非お勧めしたい作品です。

余談ですが、皮膚を剥いで裏側を広げたシーンは不覚にも感動してしまいました。あれめっちゃかっけえ
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