Omizu

アンダー・ザ・シルバーレイクのOmizuのレビュー・感想・評価

3.2
【第71回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
『イット・フォローズ』で一躍注目を集めたデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督のノワール映画。カンヌ映画祭コンペに出品、シッチェス映画祭では受賞もしている。

惜しい作品。ヴィジュアル面では何も問題ないのだが、物語としてどんどん失速していってしまう。傑作の予感を抱かせる序盤だが、中盤で中だるみ、終盤で少し挽回するもののよく分からないまま終わってしまう。

『イット・フォローズ』でみせたキレはどこへやら…と思ってしまう残念な作品だった。

アンドリュー・ガーフィールドのオタク演技は素晴らしい。走り方が完全にオタクのそれで笑ってしまった。彼がハリウッドの陰謀に気付いていくくだりはよかったんだが、少し風呂敷を広げすぎたか。

夜中のプール、貯水池、トンネルなどヴィジュアル面では圧倒されるものがある。そこはさすがデヴィッド・ロバート・ミッチェル。MV的と言えなくもないが、ワクワクする絵面の数々は素晴らしい。

風呂敷を広げるだけ広げてまとめきれなかった、というのが全体の印象。中盤をもう少しカットしてコンパクトに仕上げてくれれば言うことなかったんだけどな。

賛否分かれるであろうラストは嫌いじゃない。理解できるかというと微妙だが、ガーフィールドの表情だけで落ちた!という気になる。まぁ結局よく分からないんだけど。

とはいえしっかり作家性を確立した上での本作だとは思うので、今後が楽しみなことは間違いない。新作の噂がとんと聞こえてこないのだがどうなっているんだろう。
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