ENA

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のENAのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

自分の学費を稼ぐために外国まで出稼ぎに行く親や祖母からのプレッシャーに耐えながら期待に応え家族を一つにしたいと踊り続けるポルーニン。
渡英するために乗った飛行機の中で見せた笑顔にはただの少年とは思えない強さがあった。
ロイヤル・バレエ団の教師に言った
「出来ないなら練習すればいい」
というひと言に多くの観衆から〝天才〟と呼ばれる彼の本質がある。
両親の離婚によりバレエをする目標を失い、ロイヤル・バレエ団を去った後、また彼はバレエをする。
バレエという自分が囚われていたものから自由になっても、怪我をしてはいけないとごく普通の少年時代を送ることが出来なかった彼にとって稼ぐ手段はバレエしかない。
ドキュメンタリーにしてもやり過ぎなぐらいセルゲイ・ポルーニンの人生の全てが
露わになっていて、この映画を作ることを許可したポルーニンの度量がうかがいしれる。
「お前のためを思って(お前が私たちとは違う人生を送れるように何かで成功してもらわなければ)」と言いつのる母親を、問い詰め、追い詰めるポルーニンの姿が彼がどれだけ重圧に耐え、苦しんできたかを物語っている。
あまりにもポルーニンの人生が凄すぎて映画そのものを忘れそうになったが、(ポルーニンの演技を見る)観客を写すことによってその視線の移り変わりや表情でポルーニンの演技の美しさを表現している所が良かった。
ENA

ENA