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ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のmikaramuのレビュー・感想・評価

4.2
超一流ダンサーの踊りをアップでしかも安価で堪能できるのは映画の醍醐味ですが、その点本作は踊りの時間もたっぷり確保され大満足。
冒頭から天才の孤独と恍惚と不安を見せつけるセルゲイがまだ20代なのがドキュメンタリーとして不思議な味わいをもたらしている。
ドキュメンタリーを撮るには早いのでは、という感想も見かけましたが、これだけいろいろ紆余曲折してもまだ未来のほうが長い、というのはとても新鮮でした。ダンサーという職業の特殊性もあるとしても、ドキュメンタリーが必ずしも「人生の集大成」である必要はない、という発見が自分にはありました。今生きてる人の「THIS IS IT」って最高じゃないか!

ほぼ2000年以降の話で、幼年期の家族ビデオがやたら充実してたり、セルゲイの混乱がツイッターに表れたりするのも興味深い。

それにしても、あれだけ周りから天才と誉めそやされつづけた存在でもネットの反響でやっと自信を得るあたりに、「表現者」の抱える巨大な空洞を感じておののくばかりです。
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