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ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のchaooonのレビュー・感想・評価

3.9
『くるみ割り人形と秘密の王国』のセルゲイの出番が少な過ぎ、観ても凄さが伝わらなかったので、前から興味のあったこちらのドキュメンタリーを♪

バレエは敷居が高くて、興味はあってもじっくり観ようというところまで行かないジャンルだったけど、そんな素人から見てもセルゲイの特別さや、表現力の素晴らしさは画面からヒシヒシと伝わって来た♪
バレエ特有のしなやかな優美さがありながら、どこか荒々しい力強さ!彼の周りだけ重力が違って見えて、異次元が見える様♪

"Take Me to Church"の神々しいパフォーマンスは圧巻♪

英国ロイヤルバレエ団プリンシパル時代、彼の踊りを観たくて2年待ちの公演チケットを求めた方々の気持ちもわかる♡

そんな遥か高みに感じる彼の生い立ちを本人、家族、友人のインタビューで描く今作。才能がありながら異端児と呼ばれる彼の姿も包み隠さず描かれる。

経済的困難なウクライナに生まれ育ち、父母や祖母の献身的なサポートのおかげで、有名バレエ学校に通えた。同じ母親として、徹底して全てを犠牲にして、子供に捧げることが果たして自分には出来るだろうかと考えてしまう。きっと無理。

家族がバラバラになり犠牲を払ったおかげで才能を開花させていったのは間違いないし、そういう境遇だからこそ、ハングリーに誰よりも努力を重ねていく要因にもなっていたのは事実。彼のバレエを続けるモチベーションが家族を1つにすることだったというのが切ない。

才能も特出した何かを持っていない凡人の私からすると、羨ましいとしか言いようのない彼の才能も、その人並み外れた才能を持っていたが為に、皆んなが当たり前に持つことが出来る経験を、得ることが出来なかったってことが、人の幸せって何だろうとか余計なことまで考えてしまう。

神がかったセルゲイ・ポルーニンとい人物が結局は1人の人間で、本当に求めていたものは、特別でもなんでもないこと。ささやかな願い。このドキュメンタリーを観て彼の凄まじさや稀有さを感じるとともに、それでいて完全無欠ではない、親しみを感じる1人の青年に感じることができたような気がする。おこがましくも。

どんな形でも、彼が自由に心から舞える場がこれからもあり続けたら良いなぁと思う。