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廃墟の群盗のENDOのレビュー・感想・評価

廃墟の群盗(1948年製作の映画)
4.2
ペック率いるならず者七人が逃亡。殿を務めていた一人は駐在していた軍隊に銃殺される。デスバレーの塩湖バッドウォーターを馬の足が取られるような悪路と渇きの中で何とか横断。たどり着いたイエロー・タウンは既に廃墟となっていたが老人とその孫アン・バクスターが現れて…
軍隊が黒い服装で横一列に隊を成して襲ってくる場面の素晴らしさ。暗がりで夜這いするペックの悪戯を頭皮を掠るような見事な銃撃で応戦するバクスターの強さ。初めて男を意識した女と幾人もの群盗達の欲情とも思慕ともつかぬ視線の集中に水面下で熱が高まる。厩舎での接吻。ペックのシャツを握りしめる腕とその顔にのみ光が当たる!その官能!祖父と娘を見て郷愁に駆られた若い男だけがベッドの下で静かに息を引き取るあの構図!女に裏切られ金にしか興味を示さないウィドマーク、粗野で自信過剰なジョン・ラッセルの三つ巴の戦いは銃撃の明滅だけで映し出されず決着はバクスターの視線で語られる。まるでブニュエルのような無人の空間。群像劇の名手として誰しも平等に注がれる光。ウェルマンは天才です。
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