キッチー

人生フルーツのキッチーのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.0
高度成長期に里山の中に住宅地を作るという夢がかなわなかった元日本住宅公団の建築家つばた修一さん。年をとってから、愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅の小さいけどかわいらしい家で色々な植物を育ててながらプチ里山を作るという暮らし(実験)を妻の英子さんと実践していた。

年をとってもこういう関係が続くといいなぁ、と思えるとても仲の良いご夫婦。修一さんは、しっかりした考え方を持っているし、英子さんは修一さんの良き理解者でいつも寄り添っている。しかも、自分でも色々なものを作ってしまう。素敵です。
でも、突然訪れる別れ...思わず涙出そうになりました。

沢山の果実を収穫するのは楽しいと思いますが、作物を育てるって大変なことです。90歳ちかくになられても、続けているのは凄い!
高いところで木の枝を切ったりする、ちょっと心配になるシーンもありましたが...
そういうところは若者にお願いして欲しいと思ってしまいました(笑)

映像はお二人の日常を淡々と綴っているドキュメンタリーで、大きな事件が起きるわけではありませんが、お二人の気持ちがちりばめられた作品だと感じました。
詩の朗読のような樹木希林さんのナレーションもとても味わい深く、この映画にピッタリ。修一さんのイラストも可愛いらしくて良かったです。

モダニズムの巨匠ル・コルビュジエの「家は暮らしの宝石箱でなくてはいけない」という言葉、はじめて聞きましたが、素敵な表現ですね。お二人と同じことは出来ないけど、パートナーとの暮らしを大切にしていきたいと考える機会をくれる映画だったと思いました。
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