後輩の面倒見もよく正義感溢れる大木実の、あの洗濯板のような自信満々な面構えが映画館のスクリーンには合っていたんだと思う。テレビサイズではおさまりきらないデカい顔と図々しい態度。若者たちがドタバタしている本筋より芸達者な伴淳三郎の飄々とした存在感に癒やされた。いまの日本映画には大木実（の顔）も伴淳三郎も足りない。

大木実に川喜多雄二に渡辺文雄で三羽烏。下駄屋の伴淳のとこに立ち退きでヤクザモノがきてあーだこーだやってるのみるとムー一族思い出しながら、これが太陽族まで絡んできてシリアスな傷害事件まで起きてしまうのでちょっとビックリ、あのオネエ言葉のボンボンが切り出しナイフ手にしたときはえ？ってなったけど、基本は番匠のいつものノリでもちろん楽しい。初期でも番匠グルーヴ感じます。日守新一と伴淳のやりとりあるかと思いきや、日守の部下のおじいちゃんがしつこく渡辺文雄を追い回して、そこのエピソードがいつものラストにやってくる。大木実の恋路に先回って身をひくカツライス屋の姿子さんの歌謡シーンもあって泣かせる。没落貴族の川喜多邸に下駄屋が引っ越してくるエピソードももっとみたかったけど、伴淳と沢村貞子の夫婦のやりとりジーンときた。日守新一の社長室にはマチスとバーナードリーチ。

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