くろまめ

闇の子供たちのくろまめのレビュー・感想・評価

闇の子供たち(2008年製作の映画)
4.0
今まで気になっていたけど、また今度。って先送りにしてたので、やっと観れたーって喜びがあった。



もちろん、内容は喜びとは真逆。
鑑賞後は思わずため息がはぁーって漏れるし、何かぐるぐると思考が定まらない感じ。



現実に起こっている事だし、もっと残酷な内容もいっぱいある。
このまま私は何もしなくて良いのか?
でも何すれば良いの?
これは映画だ。と受け止めて、自分の引き出しにしまうだけでいいの?と、葛藤のオンパレードになる。
社会派の作品ってこう言う感情あるあるだよね。


ちなみに、原作は未読なのに何故か家にあるので、これをきっかけにまず原作読んで、知っていく事が大事かなと思った。




ラストは少し希望も見えたけど、終始暗い。真っ暗。まさに闇。
この映画から日本で『 ぺドフィリア』って言葉が周知になったのは有名だし、公にこう言った事実がメディアで取り挙げられる事も多くなったので、たかがフィクションの映画でも、大きな1歩になった作品だと思うので、坂本監督よく撮ってくれた!と思う内容でした。



正義感振りかざしててウザいなーと思っていた宮崎あおいも、まさに『やらない偽善よりも、やる偽善 』って感じで、目の前にいる、手の届くところにいる子供を救いたいって気持ちを、ちゃんと行動で現していて、最後は凄い!って尊敬した。



臓器売買も、自分の子供が助かるなら、そりゃあ親は悪魔にだって魂売るだろうし、誰があの親子を責められるだろうと思った。
だってドナー登録してても、提供者が現れる迄に自分の子供が生きてる保証なんて無いしね。
子供がいる人の目線で見たら、より胸に刺さるだろうな。と子供がいないので想像するしか無かった。




江口洋介がある意味キーパーソンで、人間の業の深さを考えさせられずにはいられなかった。
内に秘めた物を消し去るには、ああいう選択しか出来なかったって事が悲しかった。



世界中にはこんなに人間が溢れているから、そりゃあ色んな性癖や趣向の人がいるんだよね。
それを一言で『 異常 』って言葉で片付けちゃうのでは済まない所まで来てるんだと思わされた。



風俗する女性を蔑む人いるけど、買う男性がいるから成り立つ商売であって、やっぱり何にでも根本があるんだよね。
そこの見極めがしっかり出来ていないと、何でもクローズアップされた所だけを見て、大局が見えなくなるんじゃないかと実感させられる作品だった。



映画は『娯楽 』って枠を越えてて、これが現実だぞ!目を背けるな!って試練のような気持ちで観る作品だった。
重いし、目を背けたくなる現実が描かれているけど、今さらながら、観て良かったと思える作品だし、他の人にも勧めたくなる。そんな作品だった。
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