メタ壱

ニーゼと光のアトリエのメタ壱のレビュー・感想・評価

ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)
3.8
1940年代のブラジル。
精神病院で働く事になった医師・ニーゼは病院の行うロボトミーや電気ショック療法などの暴力的な医療行為に強い反発心を抱く。
彼女は患者たちに寄り添う内に彼らに自由と絵を描く為の筆を与える。
実在の医師ニーゼ・ダ・シルヴェイラを描いた事実を基にした作品。

もしかしたら精神疾患っていうのは、心のバランスを崩し論理的な整合性を脳が失っている状態なのかも。

だから、他人とのコミュニケーションがスムーズにいかない。
そして人と上手く繋がる事が出来ずに孤独になり、より精神のバランスを崩していく。

でもそれは円滑なコミュニケーションが出来ないというだけで、精神活動そのものが失われている訳ではない。

だから彼らは言葉ではなく、人間のもっと原始的で無意識的な心の表現として絵を描くのかも。

絵を描く事によって自分を表現し、自己を認識する。
そしてそれをもってして他人と繋がる。

そうする事でバランスを崩しカオスに陥った精神に安定と整合性を取り戻す。

人の心の扉を開けようと思ったら、激しくノックをし強引に開けてもらうのではなく、チャイムを鳴らし相手が開けてくれるのを扉の前でゆっくり待つ方がきっと良い。
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