【ショック療法の闇】
元々監督は、
盲目の人や飛行機事故で自由を失った人
など苦境に立たされた人のドキュメンタリーを作っていた人なので、リアル路線だ。
まるで、女医ニーゼ本人の仕事に
密着している。
言わば「プロフェッショナルの流儀」を
観ているような作品である。
しかし、ドラマ的描写もしっかり描かれている。例えば冒頭。
分厚い鉄扉を叩いても中々職員が出てこず苛立つニーゼ。
しかし、何度も諦めずにガンガン1分ぐらい叩くシーンがある。
ここで、ニーゼの我慢強い性格が凝縮され描写されている。
また、ショック療法の描写もドキュメンタリー的撮り方の
特性を活かして、ここぞとばかりに強烈に描いている。
観る者は「うぁ~痛そう」と恐怖を覚える。
これこそが狙いで、実際に精神病院で
行われていたことをスキャンダルに暴き出す。
そして後半、患者が決して上手いとは言えないものの
美しい絵にカタルシスを覚える…
この手の映画はやっぱり強いな~
映画祭のグランプリを獲るのは
当然だと感じた。
しかし、肝心な芸術療法の患者と女医間の
描写が少し浅い気がした。
いくら芸術療法が効果的だとしても、
あんなにすぐ患者の
心は変わるのだろうか?
患者の中には「絵なんか描きたくない」と
暴れ出す者もいてもいいのに、
そこの描写は弱めである。
女医が他の医者と闘うことに
フォーカスを当てすぎて、
どこか患者は
距離が置かれた存在って印象を受けた。
惜しいな~。
ブログ記事↓
http://france-chebunbun.com/2015/11/08/post-4791/