emily

夢と希望のベルリン生活のemilyのレビュー・感想・評価

夢と希望のベルリン生活(2015年製作の映画)
3.4
テレビでベルリンのことを知ったスペイン人、就職が決まらない青年二人はベルリンで仕事探しを始めるがなかなかうまくいかず、結局レストランで働くことになる。仲間との出会い、恋もあり、スペインとドイツの違いもブラックユーモア満載でとらえ、終始ドタバタ劇に包まれつつ、様々なテーマを濃厚に捉え、最後まで楽しめるコメディ。

夢持ってたどり着いたベルリン。しょっぱなからスペイン人というだけで、小銭を恵んでもらったり、夢見た仕事は全く見つからず、結局ここでも誰もやらないような仕事しか残っていない。
カラフルなインテリア、同郷人との同居生活、スペインとドイツの文化の違いや、言葉の壁を逆手に取った非常にわかりやすいブラックユーモアが、テンポよく繰り広げられ、切り替え方やドタバタ感もよいリズムで進められる。

コメディでありつつ、家族との関係性、貧困、認知症、不妊などの社会問題をしっかりとらえ、それぞれのエピソードも足早ながらもしっかり交差させ、それぞれの切り替え方もセンスがあり、わきを固める人たちの温度感も非常に心地良い。

親に見栄で嘘ついて、仕送りしている青年の元に親が訪ねてくるくだりからの畳みかけが中に二人の恋物語とマラソンをかけたつなげ方はラブのシリアスと笑いの落とし所の落差の間がちょうど良い。

どこの国に行っても状況はそんなに変わらない。要は自分の人間力である。それでも外国で暮らすということは、今までにない経験、そこでしか出会えない人との出会いがあり、自分を見直す良い機会になり、そとから自分の国を見ることで、また発見できることも多い。コメディでありつつ、とらえる幅広いテーマとそのメッセージ性は色濃く、特にマラソン投入からのつなげ方は絶品である。
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