マクガフィン

フューチャーワールドのマクガフィンのレビュー・感想・評価

フューチャーワールド(2018年製作の映画)
1.9
灼熱の砂漠を舞台に無秩序な荒廃した未来を演出したいと思うのだが、既視感溢れる設定やご都合主義な展開と雑なディテールが全編を通して続くことに驚きを通り越して呆れる。

傍若無人な暴君が暴れまくるが、美女アンドロイド以外は略奪しないことは暴力の具現なのだろうか。
残虐された集落もリスク対策が殆どなく、敵が攻めてきたのに機敏に動けない老人が叫ぶばかり。せめて警報器は準備できなかったのか。

主人公のプリンスは、病にかかった母・クイーンの特効薬を求めて仲間と共に確固たる決意で旅立ったと思いきや、最初に訪れた女たちを性的な奴隷にしている酒場で発情しまくりで驚く。電流が流れる首輪をして束縛されている女を見て興奮する性癖にシンパシーは全く感じない。
仲間が警戒するのに如何にも怪しい男の言うことを聞いてホイホイついて行き、安易に罠に嵌り捕まってしまい、仲間はあっさり殺される展開は呆れるばかりに。仲間のずさんな扱いは悲惨過ぎる。

美女アンドロイドも突出した資質や能力が無いので面白味に欠ける。自我に目覚めて覚醒する経緯が無いので、敵を倒してもカタルシスはない。なぜ主人公に突然肩入れしたのだろうか?
肝心のミラ・ジョヴォヴィッチは後半にやっと登場するが、ドラッグ女王であるイカれた役をファンキーに演じて作品のアクセントにはなるが、こちらも美貌以外はこれといった特徴はない。

その他にも、足跡を辿れば見つかる砂漠での逃走シーン、美女アンドロイドの修理が工業高校レベル、偶然に目的地にたどり着くこと、情報網が狭いのに世界に銃が全くないと思われていた所以など、ツッコミ所満載に。ドラッグの警鐘をしているのかも謎で、幻想的でスピリチュアルな映像を挟むことは宗教をイメージしていたのだろうか。

そんなこんなで、不当に虐げられた女たちが解放される「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」的で、如何にもタイムリーな女性解放シーンや、終盤に朝日が差し込むような心象背景にカタルシスは感じない結果に。
ゴールデンラズベリー賞の最低作品賞の筆頭候補では。