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ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドンのAKのレビュー・感想・評価

4.5
立川シネマシティの極音上映で観た。去年の『愛と哀しみのボレロ』もそうだったけど、シネマシティ極音で観る音楽劇のなんと最高なことか。とにかく至極の三時間だった。

しかしではなぜ星5つではないかと言われれば、それはやはりプロットの問題。言ってしまえば米兵とベトナム人娼婦が主人公の『舞姫』ベトナム戦争版。それにしてももっと上手いやり方があったはず。たとえば「クリスはキムがベトナムで死んだと勘違いしていた」とか、もっとツッコミどころなく筋にのめり込めたはず。

(白人男性化されたアメリカ主体と蹂躙される女性の身体を持ったベトナム、その表象の政治学から見える植民地支配構図。というのが正しい理解で、脚本家はそれこそが狙いだったのかしらないけど、そんなサイードを斜め読みした大学3年生が考えつきそうな政治性は要らんやろ)

が、それでも星4.5をつけざるえない。とにかく演者達が段違いで素晴らしい。歌もダンスも演出も超一級。最初から最後まで全編にエネルギーが充ち満ちていた。とくにエンジニア!もう最高中の最高。

記念公演だけのスペシャルステージもめちゃくちゃいい。いやー、ミュージカルって素晴らしい。この身体と音の躍動の前には、文学を愛する僕は嫉妬するしかできない。
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