Yoshishun

運命のボタンのYoshishunのレビュー・感想・評価

運命のボタン(2009年製作の映画)
3.0
“オリジナル要素が邪魔だったか”

タイトルと設定から観客が期待するものと大分かけ離れたものが出てきて困惑するタイプの作品。
押すと100万ドル、ただし知らない誰かが死ぬという謎のボタンを巡る“SF”ミステリー。

鑑賞後に知ったのだが、あの難解ミステリー『ドニー・ダーコ』のリチャード・ケリー監督作だったことがわかり納得。原作は20ページ前後の超短編らしくボタンを押すか押さないかで欲望的か、利他的か人間性を問う内容だったらしいが、本作は火星やら来世やら宇宙規模でスピリチュアルな話題に繋げてきたせいで意味不明な世界観になってしまったように思う。元々短編だったものに変にオリジナリティーを出そうとして失敗してしまった良い例だ。

肝心のボタンを巡る展開は前半30分ほどで決着が付き、後は押してしまった者が辿る後日談が淡々と描かれる。一瞬知らぬ間に隣人が地球外生命体となる『ボディ・スナッチャー』のような気味の悪い作品になるかと思えば、前述の無駄に難解な設定のせいで集中力が削がれていく一方。ただ『ボディ・スナッチャー』とボタンの設定をリンクさせるにも無理がありすぎるので致し方ないか。

もっとボタンを押すかどうかの心理スリラーを膨らませるべきだったとは思うし、展開が予想できないという意味では面白くも伏線の張り方が露骨であったり、そもそもぶっ飛び過ぎた展開の連続についていきずらい。コメディ完全封印のキャメロン・ディアスは収穫だっただけにどこか勿体無い作品だった。
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