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僕とカミンスキーの旅の一人旅のレビュー・感想・評価

僕とカミンスキーの旅(2015年製作の映画)
5.0
ヴォルフガング・ベッカー監督作。

ドイツ出身の作家:ダニエル・ケールマンによる2003年発表の小説「僕とカミンスキー 盲目の老画家との奇妙な旅」を『グッバイ、レーニン!』(03)のヴォルフガング・ベッカーが映画化した作品で、老画家と美術評論家の青年の旅路がユーモラスなタッチで語られます。

出世欲が人一倍強い無名の美術評論家の青年:ツェルナーは、現代美術の巨匠で現在はスイスで隠遁生活を送っている伝説の老画家:カミンスキーの伝記を執筆して名を上げることを決意、早速スイスの山奥でひっそり暮らしている盲目のカミンスキーを訪ねたツェルナーは彼の取材を始めるが、やがてひょんなことからツェルナーはカミンスキーを連れて彼が愛していたという女性と再会すべく車の旅に出ることに―という、青年&老画家の風変りな交流と旅路を、8つの章で描くチャプター構成のロードムービーとなっています。

前半はツェルナーとカミンスキーのスイスでの初対面を描き、二人が一緒に旅に出るのは上映開始後1時間が経過してからとなります。エゴイストで野心的なツェルナーと盲目ながらしたたかなカミンスキーの凸凹珍道中をユーモラスに綴ったロードコメディとなっていますし、カミンスキーを自身のキャリアアップのために利用しようとしていたツェルナーが人生の晩年を生きるカミンスキーと交流を重ねていく中で心境に変化が訪れていく様子と、親子ほどに年が離れた二人の化学反応と不思議な友情の成立が味わい深い余韻を残してくれます。

『グッバイ、レーニン!』から実に12年の歳月を経て、奇才:ヴォルフガング・ベッカーが青年と老画家の奇妙な旅路を哀愁とユーモアを適度に織り交ぜながら描き上げたロードコメディで、主演のダニエル・ブリュールが高慢な青年評論家を好演していますし、相手役となる盲目の老画家に扮したイェスパー・クリステンセンの芸達者な立ち回りが見物となっています。
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