かつて美術界が熱狂した盲目の天才画家と青年の奇想天外なロードムービー作品。
31歳の無名の美術評論家ゼバスティアンは、金と名声欲しさに芸術家の伝記を書こうと思い立ち、スイスの山奥で隠遁生活を送る画家カミンスキーを訪ねる。カミンスキーはマティス最後の弟子でピカソの友人、そしてポップアート隆盛の60年代NYで盲目の画家として脚光を浴びた伝説的な人物。ゼバスティアンは新事実を暴く為、年老いたカミンスキーを巧妙に誘い出そうとするのだが…
『旅の行方は…』
年齢も性格も違う凸凹コンビにも見える何とも可笑しい組み合わせの2人。登場する人物は皆一癖も二癖もあって意地悪なんだけど、何故か憎めない。人間灰汁が強ければ強い程、その奥に隠された腹の色が気になり興味が湧いてくる。絵画は描き手の想像力であり、頭の中や人生を写し出すリアルな表現方法なんだと気づかせてくれる。
傲慢で目的の為には手段を選ばない31歳の青年と、一筋縄ではいかない85歳の老人による奇想天外なロードムービーでした。