いろどり

ダイ・ビューティフルのいろどりのレビュー・感想・評価

ダイ・ビューティフル(2016年製作の映画)
3.5
トランス女性はタイで盛んなイメージを持っていて、実際タイに行ったときは多くのレディボーイを見たけどフィリピンでも同じような感じなのか、ミスコンの多さに驚いた。はるな愛も以前、同じようなミスコンで優勝していたことを思い出した。テレビを持っていないので最近のはるな愛を知らないけど、昔はすごいかわいいと思っていた。はるな愛の優勝により、海外のミスコン優勝の水準が推測しやすくなった。

ここに出てくるトランス女性はみんな実際はトランス女性ではなく男性の俳優がやっているらしいけど、仕草や雰囲気が女性にしか見えなくなってくる。時系列がバラバラでまるでジグソーパズルの一片をいくつもつなぎあわせているかのような構成にははじめ混乱したけど、この不完全さこそトリシャの生き方そのもののような気がした。家族との確執や人々から軽視される描写はつらく、娘や親友の存在に救われる。

死後に1週間毎日、セレブ風メイクをするというのは、まずそれができる環境であることに驚きを隠せない。そういう慣習があったりするのだろうか。死体安置室のような空調設備もないようだったし、フィリピンは湿潤な気候だし、色々大丈夫なのかと思ってしまう。メイクはアンジェリーナ・ジョリー風も良かったけど、金髪で目の周りがラメでキラキラしているのが好きだった。レディガガなのかよくわからない。その辺りの説明は欲しかった。

死んだら神様に「見て。あなたの贈り物をこんなにステキにした」と言うわ、というトリシャの言葉には感動した。前向きで清々しさを感じられる言葉に彼女の生きざまが表れていると思う。あまり見たことのないフィリピン映画で題材もトランス女性の生き方という刺激度高めな中、しっとりと綴られるストーリーが良かった。フィリピンの住宅や生活が垣間見られたのも新鮮だった。
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