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台北ストーリーのにへのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
4.3
【男は何もかも取り残されて】

エドワード・ヤンの作品も観ていないのは残すところ「恋愛時代」のみとなり、彼の若すぎる死を悼む数多といる人間のうちの一人に自分もようやくなった。制作途中だったアニメ映画とか絶対観た過ぎてしんどいです。。。

本作はヤンのフィルモグラフィにおいて、ネオン、闇の支配する光、空箱、タバコ、といった美術・空間設計を通して、女と時代に置いてかれる純粋な男の無残、積み上げられた都市に渦巻く人間の欲望、計略の崩壊といったテーマを主に描いてきた彼の作風を方向付けた土台のような作品なのだと思う。

土台の作品といえども当然のように本作も傑作なのだが、やっぱり他のヤン作に比べて見劣りする。しかし、主人公の男女の倦怠な関係にライドするかのようにアイデアや画の取捨選択が(ヤン作品の中じゃ)うまくいってない悪い意味で怠慢なストーリーや、終盤の男の残余と女の内見場面のクロスカッティングを代表とする(ヤン作品の中じゃ)ダサいシーンの繋げ方だったりという至らぬ点は彼が本作を通して自らを模索した痕跡にも思えるような気がするし、実はありがたくすらあるのかもしれない。

螺旋構造の開放的なビルやキャッチボール、日本のレトロなCMだとか好きなとこ言ったらきりがないのだが、結局「ブレードランナー」っぽい退廃的な都市の色気が詰まった富士フィルムのネオンに一番ハートを掴まれた。