イチロヲ

肉体の門のイチロヲのレビュー・感想・評価

肉体の門(1977年製作の映画)
4.0
戦争体験により売春行為しか生きる術がなくなった娼婦たち(加山麗子など)が、進駐軍に抗い続けている復員兵(遠藤征慈)との出会いを通して、肉体を解放することの歓びを諭される。田村泰次郎の同名小説を映像化している、日活ロマンポルノ。筆者は原作を読了済み。

様々な境遇にある客人たちとの交流劇をメインにしながら、渡辺とく子のヒロポン芸や宮下順子の折檻芸、本物の牛を使用したモーモー屠殺など、ロマンポルノの自由度を活かした変化球が付けられている。

またGHQの検閲が厳しい時分に発表された原作では、跋扈する進駐軍の表現がだいぶ抑えられているが、本作では日本の一般庶民を籠絡する鬼畜のような役回りで登場。やり過ぎ感があるけれど、本作に限ってはカリカチュアされた表現として割り切るのが最良。

女優陣では、渡辺とく子が女優賞クラス。「女らしさ」を取り繕うことに対して劣等感を抱いている女を、ものの見事に具象化させている。結核持ちという設定にすることにより、「性と死」の要素を盛り込むあたりがロマンポルノらしさ満点。
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