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立ち去った女のNapponのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.2
初ラヴ・ディアス。
228分を感じさせない、ゆっくりと、じわりじわりと進む物語。
台詞は少ないが、一つ一つのシーンが丁寧に繋がり、あっという間に中に引き込まれる。

映像の美しさ!光と影のバランスやモノクロの濃淡に息を飲む。
音楽がない分、バイクの音、虫の音、話し声等、生活音や環境音などが際立っていたのも効果的。

ホラシアが島で出会う、バロット売り、ホームレスの女、そしてトランスジェンダーでゲイのダンサー。それぞれの出会いから、ホラシアが得たものとは、失ったものとは。鑑賞後もしばらく色々な考えが巡る。

神様のような優しさの中、時折垣間見えるホラシアの激しさ。彼女の長年に渡る苦しみを容易に想像できる、人の深みや闇の描き方が素晴らしかった。

ラストは、この長い物語を締め括るのに相応しい重みがあった。
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