マクガフィン

裏切りの街のマクガフィンのレビュー・感想・評価

裏切りの街(2016年製作の映画)
3.4
出会い系サイトを通じて関係を持つようになった専業主婦と、年下のフリーターが流れに身を任せて生きてきた2人の待ち受ける運命を見つめる物語。DVD鑑賞。

演出家ならではの徹底的にリアルに描いたことや、演劇的要素は素晴らしく、主演2人の微妙な心情を表す演技と演出が秀逸なのは三浦監督ならでは。

池松壮亮の物語にドライな質感をもたらす演出は素晴らしいし、寺島しのぶの普段の生活に不満はないが、女性が抱く葛藤や満たされていない微妙な役柄を僅かな表情や目の動きで鮮烈に演じる。

不倫の背徳感を壮絶に描くのだが、ゲスな主演2人を深層憎むまでにはいかないのは、リアル描写にした演出と監督の根本にある人間賛歌のためだろう。

演出家ならではの演技の演出が上手く、今作品もキャストの演技の幅を広げた演出は見事。おそらく撮影前の稽古時間を取ったのでは。

演劇的要素は抜群なのだが、もう少し演劇的要素と映画が融和し合う作品を作ってほしい。経験も相まって技術的には届くレベルにはきていると思うのだが。エンドロール後のその後の物語は蛇足。