豚肉丸

ディザスター・アーティストの豚肉丸のレビュー・感想・評価

4.6
俳優を目指す男が、無尽蔵に金を持ち同じく俳優の夢を追う謎の男と出会い、2人で協力して映画を作り始めるお話...が、その映画は伝説のカルト映画となる。

滅茶苦茶面白い!
創作をすることの快楽と、そこから生まれる苦悩の描かれ方が面白い。特に、自主制作映画だから多くの人間が関わるわけで、その監督が自分のことしか鑑みないヤバい人物なせいでどんどん混乱に陥っていく過程が面白いが、同時に創作をする人間にとっては非常に胸が痛くなる。監督によって現場が振り回されるあの場面は身に覚えがありすぎてかなり心に来た。トミー・ヴィゾーを笑っている自分自身もまた、トミー・ヴィゾー(トミー・ヴィゾー以下?)になっている可能性も十分に有り得るのだ...

「笑い」の使い方が非常に上手い。『ザ・ルーム』という、ネットミームと化した作品を描く上でその「笑い」の部分は欠かせないのだが、それを上手く物語に落とし込んでいたのが良かった。笑いが持つ暴力性と、作品に対する愛を込めた笑いの違い。結局後者にも嘲笑の意味は入っているとは思うのだが、創作者として作品が好意的に受け入れられるのはこれ以上無い快楽だから、共感もありつつ...でもやっぱトミー・ウィゾーはぶっ飛んでるなと思わされた。

『ザ・ルーム』自体は未見なのでいつか見たい。だけど有名な場面しか知らない状態でも十分楽しめる作りにはなっている。
豚肉丸

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