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ディザスター・アーティストのlptsのレビュー・感想・評価

4.0
「世にも奇妙な実話」 
 
事実は小説より奇なり、ということわざがあるが、本作はこの言葉を体現したような映画だった。世の中にこんなに奇妙な話があっていいのか、と思うほど本作で取り上げられている実話は奇怪で面白い。映画製作ド素人のトム・ウィソーという監督が600万ドルかけて映画"The Room"を製作する模様を描いたストーリーなのだが、この製作過程がとんでもなくて何度も笑ってしまった。そして、何より奇妙なのが"The Room"の製作、監督、脚本、主演をてがけたトム・ウィソーという存在。彼が無尽蔵にお金を持っている理由、出身地、年齢はいまだによくわかっていないらしい。あらゆる情報が簡単に手に入る世の中で、まったく謎の男が存在するというのはとても興味深い。

「史上最低な映画」
 
600万ドルをかけて製作したにもかかわらず、めちゃくちゃな脚本と演技の酷さで史上最低の映画と評されている"The Room"。

カルト映画化した"The Room"が素晴らしいのは、監督が大真面目につくったところだ。決してお金持ちがふざけてつくった映画ではない。製作理由も素晴らしく"The Room"は自分の友達を喜ばせるために作られた。今どきこんなに純粋な理由で映画が作られることはあり得ない。脚本があまりにも支離滅裂で主役の演技が酷い出来の映画だが、このとても純粋なきっかけでつくられた大真面目な映画は観客の心に響くものがあるのだろう。
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