三樹夫

THE BATMAN-ザ・バットマンーの三樹夫のレビュー・感想・評価

4.0
『ジョーカー』は『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』を、バットマンでスコセッシをやるみたいな作品だったが、今作はバットマンで『セブン』をやるみたいな作品だった。雨がずっと降っているのも『セブン』を想起させる。リドラーっていう『セブン』のジョン・ドゥポジの謎々マンが世の中の不正に怒りを燃やして、名探偵バットマンが捜査するという。バットマンとリドラーというのは表と裏みたいになってて、お互い出自が孤児で、自警で世直しをやっているという、やってる事は2人とも一緒。ただバットマンは金持ちでリドラーは何も持たざる者という、格差間の対立になっている。バットマンはキャットウーマンからも考え方が金持ちの傲慢とチクチク言われる。

相変わらず住みたくない街No. 1のゴッサムシティで、地下鉄に乗る奴が悪いと言わんばかりに、北斗の拳のモヒカンみたいなチンピラが跳梁跋扈して当然の如く絡まれるという荒廃ぶり。土砂降りの雨の中、チンピラ連中がカツアゲしてるとこにコウモリの格好した奴が現れるというこの世の終わりみたいな光景。観てて正直、チンピラ連中よりも、コウモリの格好してる奴の方が頭がおかしいと思った。チンピラに絡まれたところにヒーローが助けに来たのではなくて、よりやべぇ奴が現れたみたいな。ティム・バートンやジョエル・シュマッカーゴッサムシティの中にバットマン出てくるのは何にも違和感ないけど、ニューヨークを思わせるゴッサムシティの中にコウモリの格好した大男が出てくると違和感半端ないというか、作中1番のあたおか感があった。

unmaskedというワードが象徴的に何度も使われるが、バットマンはマスクをしないと本当の自分になれないという倒錯した人間。ここら辺は『バットマン リターンズ』を踏まえてのことか。ジム・キャリーがものすごいカロリー消費してリドラー演じてた『バットマン フォーエヴァー』要素はなかったが。
今作のリドラーはオルタナ右翼みたいな奴というか、今現在の要素をぶち込み、ポール・ダノの安定のリアルにキモい奴演技で、ジム・キャリーのリドラーとは全く別物のリドラーとなった。リドラーの出す謎々1個も解けんかった。

サブマシンガンの凶器っぷりがすごくて、とんでもなく恐ろしい凶器としてぶっ放していたのが印象に残る。後、バットモービルがとんでもなくイカつかった。
最後のリドラーに話しかけてた囚人は誰なんだろう。クレジットではUnseen Arkham Prisonerとなってて英語版wikiだとジョーカーって書かれてるけど。
『セブン』を彷彿とさせるサスペンスフルな展開は楽しかったけど、3時間はやっぱ長い。
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