ハリウッド火曜サスペンス劇場。
フィルム・ノワール調というのでしょうか。こういう映画。ディテクティブコミック時代の探偵色に回帰なんていう解説もありました。
個人的にはストーリーよりも映像に全ぶりしたかのような画力とその迫力が印象的。
暗闇の中で銃撃の光だけで映すシーンなんて初めてみた。あれだけでも何度も見たい。
予告に映っていたカーチェイスのシーンも、IMAXで見ていたのもあって爆音轟音。心臓にとっても刺激的。
冷静に考えるとあれって犯人でもない重要参考人のペンギンちゃんをただ追っかけているだけよね。しかも先に車に乗ったのバットマンの方よね。
普通に捕まえればいいのに、これで追いかけてやるから早く車に乗って逃げろよという勢いまんまんでエンジンふかすバットマン。それもこのバットマンの異常性というか、ちょっと病んじゃってますよーという描写だったりするのだろうか。
Twitterで#バットマンエモいがトレンド入りしていたらしいよと知り合いから聞いて、そのエモさはきっとバットマンのことなのだろうけど、案外リドラーの方に共感する人もいるんじゃないかなと思った。
リドラーの考え方というか境遇というか、反社会的とひと括りにされてしまう人たちの中で起こることの一因はその社会の方にもあって、社会に反するものを遠ざけようとする社会がその社会に反するものを生んでいるという矛盾みたいなものが感じられた。
それはきっとホアキンのジョーカーにも近い感覚で、称賛されるべきではない悪が讃えられる社会と、そういう社会になるべくしてなっている世界の成り立ち。不健全で健全。そんな居心地の悪さがゆらゆらと漂うゴッサムシティの描写にはバットマンならではの気配があったように思う。
今回バットマンと似たもの同士の兄弟的存在として登場したリドラー。このシリーズがジョーカーをどのような立ち位置で描くのか。次作がもしあるならそれが楽しみ。
ところで、あのペンギンちゃん。コリン・ファレルなのね。エンドロールまでまったく気が付かず。あの人いったい何者なの。