父は根っからのだめな人。
私にはわかる。
私もだから。
映画の余韻にこの言葉が一層切なく感じる。
いつからこんな風にマット・デイモンに哀愁を感じるようになったのか。
冒頭1〜2分の映像、音楽、会話。なんだかとても好き。わずかな時間の中に物語の背景や人物像が端的に詰め込まれていて、この絵作りはシンプルに見えて実はすごい技術の集まりなのではと思ったりもする。
『スポットライト』を見た時もそうだったが、そこそこ長めの尺で話の展開もわりと察しがつくのだけど、登場人物それぞれの心情にふれているといつのまにか映画の中に引き込まれてしまう。
引き込まれ方も、どっぷりというよりは何だか同じ空間にぼんやり漂っているような、ゆるい繋がりみたいなものが最初から最後までそこにある感じ。
きっとそれが監督の演出力だったり役者たちの画力と呼ばれるものなのかもしれないけれど、映画としてしっかりとひとつの完成品になっているような気がした。
人生は残酷だ。
変わらないことを憂うのも、変わらないことを嘆くのも、変わらないことを尊ぶのも、すべては自分の心が見せるもの。
起きたことは変えられない。
それは分かっている。
それでも心の平穏が得られるなら。
もしも心の平穏が得られたなら。
何が起きても今は今でしかなく、その今をどう感じるかは自分が決めるしかない。
だからこそ人生は残酷であり、だからこそ人生は儚く尊い。
でもやっぱり、嘘はよくない。