Brynhildr38

THE BATMAN-ザ・バットマンーのBrynhildr38のレビュー・感想・評価

3.9
芸術的リブート!
両親を殺害されたブルース・ウェインは「探偵」となり、夜は黒いマスク姿でゴッサム・シティの悪に容赦なく鉄槌を下していた。しかし、権力者を標的にした連続殺人事件の犯人として名乗り出たリドラーが、警察やブルースを挑発。そして、政府の陰謀やブルースにまつわる過去の悪事や父親の罪⁉が暴かれていく。(大まかなあらすじ)

ストーリーは謎解き含みで解りにくいが意外とシンプル。ブルースは復讐に取り憑かれていて、不正や犯罪が蔓延るゴッサム・シティを見限っていたが、様々な事件・陰謀に関わり、執事のアルフレッドや相棒?セリーナとの繋がりの中で、真に自分のやるべきことを見つけるというもの。

まだ探偵2年目で不器用なバットマンは、惑わされて信じてきたものを見失い、路頭に迷い、再び自分の内面と向き合うことで、真のヒーローとして目覚める。非常にシリアスで、過去作品の中でもっともバットマンの内面=人間の本性にフォーカスしてる(多分)。

ビジュアルのクオリティもキャットウーマンの鼻マスクを除けば、過去最高レベル。「重さ」を表現するバットマンのコスチューム、痺れるようなエグゾーストノートを響かせるバットモービル、迫力と臨場感のあるカーチェイス、そびえ立つ高層ビルと厳かなゴシック建築が混在する街並み。そのトーンや雰囲気は、ザック・スナイダー監督の「ウォッチメン」に近しい。

これまで多くのキャストが演じてきたブルース・ウェイン。今作では時に怒りを抑えきれず暴走し葛藤するウェインを、ロバート・パティンソンが妖しく、美しく、力強く、抑制の効いたトーンで演じている。

「ダークナイトとどちらが面白いのか」という議論については、エンタメ的にはダークナイト。でもジャンルが似て非なるもの、無理に比較するのであれば「バットマン ビギンズ」になるはず。いずれにしても、一方だけしか観ないということがあれば、それはとてももったいない。

結局、バットマンはリドラーに振り回されっぱなしだが、リドラーの誤算はバットマンが復讐よりも大切なものに目覚め、覚醒させてしまったこと🤔

続編が楽しみ。
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