クリストフォルー

汚れたミルク/あるセールスマンの告発のクリストフォルーのレビュー・感想・評価

4.2
原題「Tigers」を見て、レオ様の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が浮かんだが、前半部は、いつまでも廃れず繰り返される“猛烈ブラック営業物語”で、「ドリーム ホーム 99%を操る男たち 」にも通じる感じ。しかし、肝心なのは、後半で、主人公が“ホイッスルブロワー=(内部)告発者”に転じてからの物語だ。
ネスレ社など多国籍企業による乳児用ミルク類の大量販売攻勢が、途上国の乳幼児の栄養障害や死亡をもたらす事例は、70年代には、すでに“ネスレ・ボイコット”として社会問題化していて、学生時代に関連する講演を聴いた記憶はあったが、それほど心に響かなかった。むしろ、母乳に頼る子育てに疑問を抱く方だった。それだけに、本作を観て、世紀をまたいで、悲劇が世界各地で繰り返されていたことに衝撃を受けた。
無知と貧困を隠れ蓑に、企業の利益のみを追求する時代を、今度こそ終わらせないと、“持続可能な社会”なんて永遠にやって来ない。今は、一人ひとりが“ホイッスルブロワー=公益通報者”になれる時代。社会と法で、ちゃんと護ろう。
クリストフォルー

クリストフォルー