ハラカン

サラエヴォの銃声のハラカンのレビュー・感想・評価

サラエヴォの銃声(2016年製作の映画)
4.0
ヨーロッパの火薬庫、いまだ健在。
サラエヴォのホテルを舞台に、ホテルの労働争議と歴史番組の収録が平行して描写される。プリンチップのサラエボ事件を起点に、歴史認識の変転が語られていく。バルカン半島の複雑な民族対立が今も続いていることを実感させる、重厚な歴史映画。
「ボスニアヘルツェゴビナではすべてに2つ以上意味がある」
「血の20世紀はサラエヴォに始まり終わるのだ」
「EUは装甲車で走り回り、この国に融資し、生き方を指図してくる」
「優しさなど信じない。ただの生存本能よ」
歴史問題が解決しない理由がよくわかる。歴史観の共有など不可能で、それを前提に平和を維持しなければならないのに、「正しい歴史」の押し付けあいを続けるのであれば、これからも戦争が繰り返され続けるであろう。
「戦争広告代理店」を読みなおしたくなったが、見つからない