ほおづき

わたしたちのほおづきのレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
5.0
子どもの純粋さってほんとうに残酷で凶器だよねっていうのを淡々と突き付けてくる韓国映画。

子供のころに感じてたあの嫌な感じをもの凄くリアルに子供視点で描いた作品。 
まず最初のドッジボールのチーム決めのシーンからつらい・・・
うまい子や仲いい子から選ばれていって取り残される主人公。そんな、自分の存在を拒否されてるかのような無意識の仲間はずれを説明的なセリフも無しに伝えてくる。
どうやって演技指導してるんだろうって思うくらいに上手に移ろいやすい子供たちの心の変化を表現していて、是枝監督みたいな生々しさを感じた。


無垢ゆえに誰でもやっているかもしれない無意識のいじめ。
昨日まで仲良くしていたのに突然避けられたりコソコソ嫌な感じがあったり、無意識のマウントの取り合いや些細なことでターゲットは変わっていく。
子供の社会ってどうしようもないくらいに閉鎖的で逃げ場がなくって、周りにあわせて気付かないうちに他の子を傷つけてしまう。

個人的にはいじめなんて無くならないと思っていて、いじめや仲間外れなんて自然界における動物的本能で、弱い個体や歪な個体を排除しようとしてる結果なわけで、理性の少ない子供の頃のほうが顕著なのはどうしようもない・・・
結局それが”わたしたち”ってことなのかもしれない。


そういえば、欧米の人達はこの映画を観てどう思うんだろう?
アメリカって韓国人の留学生が日本人より多くてよく一緒に遊んでいたけど、欧米人より感性が似ていたのをお互いに感じていた。
この映画を観てあらためてそれに気づかされた。もちろんいじめ自体は世界中あると思うけど、感じ方やいじめのやりかた、対処の仕方なんか、いじめを題材にしてる欧米の映画よりもかなり共感する部分が多かった。