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The Demolisher(原題)
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『The Demolisher(原題)』に投稿された感想・評価

インターネット修理の仕事をしている主人公・ブルースの妻サマンサは元警官。
動物のマスクを被った異様なカルト犯罪集団のアジトに踏み込むも返り討ちにあい重症を負わされ下肢が麻痺と言う後遺症が残り車椅子の生活を余儀なくされる。

ブルースは献身的にサマンサの身の回りの世話をするものの最近夫婦の間にはギクシャクした空気が流れ始めている。

そんなブルースの心の内はどうにもならない怒りと憤りが煮えたぎっておりサマンサをこんな目に合わせた犯罪集団、ひいては反社会的な連中に向けられる。

夜な夜なヘルメット、全身を覆うプロテクター=ライオットスーツを身にまとい街を徘徊してはWトンファーを振るいチンピラ共をボッコボコにしては憂さを晴らしている。

そんなどうにもやり場のない怒りや暴力に身を任すブルースの精神も徐々に均衡を失っていき悪夢や幻想、狂気に蝕まれていく。

サマンサは最近不眠症にも悩まされており、不眠症患者達のメンタルヘルスサークルでマリーと言う若い女性と知り合う。

ある事からブルースはサマンサに怪我を負わせたカルト集団とマリーが関わりを持っていると確信しその暴力の矛先はマリーに対して向けられる...

ブロンソンの『狼よさらば』を思わせる妻(又は娘など自分の愛する女性)を殺されたり或いは傷つけられた事による相手への又は社会全体への復讐。
暴力への暴力による報復を描く自警団(ヴィジランテ)モノのシンプルなストーリーながら『ドライヴ』のニコライ・レフン監督を思わせる映像美。
ネオンの光が輝く夜の街をプロテクターフル装備の男がチンピラ共を狩る。
冷たくスタイリッシュな画面と対照的なそこで行われる血腥い暴力。
そしてブルースの狂った精神世界を表す幻想の数々。
ブルースが悪夢や幻覚で見る森や動物の死骸、血みどろで苦しむ自分や拷問や炎のイメージ。
それらの映像が繰り返し挿入され現実世界では街のダニを狩るダークヒーロー、しかし自身の内面世界(インナースペース)では自分がその罪に苛まれ地獄で責苦を受けている様な苦痛の中にある。
『エクスターミネーター』をレフン監督が撮った様なと評される様に今迄の数多く存在する「ヴィジランテ物」とは一線を画している作品だと思いました。

しかしチンピラ共をボッコボコにするバイオレスアクションを見たいと言う自分みたいなボンクラから見るとやや不満が残ります。
途中からはブルースに追われるマリーの方に視点がシフトしてしまい、ダニ共を狩るダークヒーローだった筈が完全にホラー映画のパターンと言いますか『ハロウィン』のブギーマンみたいな一種の殺人鬼になってしまうので主人公に感情移入出来なくなり、どうも一貫してないと言うか全体の筋が通ってない印象も受けました。

とは言えスタイリッシュな映像美と暴力描写はレフン監督や北野武監督を思わせ、日本でも是非公開して欲しい作品です。
TTSZ

TTSZの感想・評価

3.4
ダークサイドに堕ちたエクスタミネーター。