ゆずきよ

blank13のゆずきよのレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
4.0
斎藤工の監督作品。
主演は高橋一生。
他出演にリリー・フランキー、松岡美優、佐藤二朗、村上淳、伊藤沙莉など。
これだけ好きな俳優出ているなら観る以外の選択肢無いでしょう。
題材も絶対好みだし。
先にお伝えすると、いつもよりかなり主観の感情に塗れたレビューとなります。
ご了承下さい。

物語は、どうしようも無いクズ親父が、家族を残して失踪し、13年後に出会った時には残り時間が少ない状態だったという内容。
冒頭はその父親の葬儀のシーンから始まる。
隣で行われている葬儀は、同じ苗字だが似ても似つかぬほど盛大で、その対比がエグい。
そこから過去を思い出す形で物語は進む。
基本的には次男である高橋一生目線での話。
過去の映像との切り替えの演出好き。
伏線というほどでは無い細かい小道具で、物語の余白や奥行きの作り方が凄い。
これは実際の話をモチーフにしているそうなので、そう考えると納得か。
中盤でのタイトルの差し込みも良かったし、この上映時間でこのタイミングかと感嘆しました。
後半は葬儀の場面での、父親に縁のある人の思い出話を中心に展開。
個人的には此処が少しグダっとしたというか、佐藤二朗は好きなんだけど、ちょっと回し過ぎかなって。バラエティ感が強過ぎてちょっと苦手だった。
結末としてもこの物語ならこんな落とし所というか、これ以上は無いよね。
盛大に送ることも良いと思うけど、私は出来たら数人で良いから心から送り出して欲しいな。

以前のレビューにも少し書いたが、私も割と最近父を亡くしています。
その父も、この作品のリリー・フランキーほどでは無かったが、破天荒で自分勝手な人だった。
借金も残していたしね(合法的な借金だったし、なんとか完済はしています)
ただ、葬儀の時に家族葬だって言ってるのに驚くほど多くの人が来てくれて、普段文句を言っていた母も、迷惑をかけた親戚のおじさんも妹達も泣いていて、あぁ人に好かれた人だったんだなぁと認識した。
作品の中の台詞のいくつかが、耳の奥で微かに響いて残り、私自身も色々と思い出して少し涙した。
これはきっと経験した人しかわからない映画だと思う。
今日凄く嫌な事があって、スカッとする映画を観たいなと思ったのに、何故か不思議とこの映画を選択してしまって、これも何かの導きなのかも。
私にも良くわかりませんが。
今年の父の一周忌の後に、ひっそりともう一度観たいと考えています。
ゆずきよ

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