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blank13の3110136のネタバレレビュー・内容・結末

blank13(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「僕も父は大嫌いです。少し好きな気もします。正直良くわかりません」系

多分、多分だが、分かる必要はないんだ。分からなくてもいいんだ。



最近、リリー・フランキーが好きになってきた。

俳優さんにもいろいろなタイプがいらっしゃると思いますが、リリー・フランキーはどの役をやってもリリー・フランキーなタイプの役者(浅野忠信とかもそう)だと思う。なのに《そして父になる》から《凶悪》、《SCOOP》まで幅が広い。けど、やはりどれもリリー・フランキーなのはなぜだ。

最近《ダメ親父》映画を探していまして、リリー・フランキー×ダメ親父となれば、もうこれは観ないわけにはいかない映画です。

なぜ最近ダメ親父が気になるのか、理由を考えた事はないです。何かコンプレックスがあるのかなぁ。


●あらすじ
父は麻雀好き、そして借金もあるダメな人間だった。家は貧乏だったけど、それはそんなに気にならなかった。父とキャッチボールをするのが楽しかった。ある日「タバコ買ってくる」と言ったまま、父は失踪した。その日から、母は新聞配達、スナックのホステス、内職と掛け持ちし2人の息子を育てた。母を、そして自分たちにこんな思いをさせた父が大嫌いだった。

父が見つかったのは13年後。末期の胃癌だった。3ヶ月後、父は他界した。

父の葬式の日、葬列者は少なかった。そして、どこか変わった雰囲気の人たちばかりだ。お坊さんが「みなさん、故人との思い出を話してください」と切り出す。雀荘仲間、通っていたスナックのアルバイト、パチンコ店の同僚、歌手、アマチュアマジシャン、オカマ、どう見てもまともじゃない奴、ヤクザ、病室が一緒だった人、気の弱い人、競馬仲間。それぞれが話す父の姿。13年の空白が少しずつ埋まって行った。

相変わらず父の事は嫌いだ。でも─。


●親と子
少し脱線します。

ある調査によると、父親が子供と接する事ができる時間は一生で約3年4ヶ月だそうです。感じ方は人それぞれだと思いますが、私は「それしかないんだ」と思いました。

逆に言えば、父親が子供に与えられるのは遺伝子位のもので、子は周りに影響されながら勝手に育っていく。そういうものなのかもしれません。

リリー・フランキー演じるダメ親父は、失踪しましたが確かに息子に影響を与えていた。それは良い影響も悪い影響も。息子たちは葬式で父の生前の知り合いたちの話をするまで《その影響》を意識することはなかったのかもしれない。もしかしたら、意識したくなかったのかも。自分たちを辛い目に合わせた父親を単純に憎む事ができるから。


●葬式の対比
《7つの習慣》という本があり、確か冒頭で「あなたはどんな最後を迎えたいか?」という質問で始まります。お葬式でどんなふうに見送られたいか。

この映画では2つの葬式が出てきます。

リリー・フランキーじゃない方の葬式が、葬列者も多く、一見良い葬式のようで実はそうでもない、表面的には皆悲しんでいるが、本当はそんなに悲しんでいない、というような描かれ方をしています。

一方で、リリー・フランキーの葬式は、それぞれ変な葬列者とはいえ、本当に心から故人を悼んでいる、そんな感じで描かれていましたね。あんな葬式は観たことないけど、素敵な葬式だと思います。

ちょっと対比が極端だなぁ…、と感じましたけど。


●家族の風景
♪キッチンにはハイライトとウィスキーグラス
どこにでもある様な家族の風景♪
このハナレグミの曲(カバー)、好きな曲です。

いろんな《家族の風景》があると思います。

あなたと私の家族の風景はきっと違うと思います。家族の数だけ風景があり、それ以上でもそれ以下でもない。比べる必要もない。



正直、難しい映画で、良くわかりませんでした。でもそれで良い。
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