さとうきび

ゲット・アウトのさとうきびのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.8
暑くなるとブラムハウスが恋しくなる。


ストーリー 8/10
どんでん返しで驚かせるタイプの映画はよくあるが、映画を見る前から持っている先入観を利用してくるとんでもないストーリーライン。大筋だけでなく、細かな伏線も散りばめられていて、ざっと見返すだけでも面白い。些細な情報も入れずに味わって欲しい。


構成 7/10
じわじわと居心地の悪さを表現している前半部分、面白いんだけど少しペースの遅さを感じた。意味深なシーンを詰め込みすぎている感もある。退屈だと感じる人もいるはず。
その分、後半戦の疾走感はヤバいので、そのカタルシスを味わうための助走だと考えられるかどうかで評価が分かれそう。
も一つ好み分かれそうポイントでいうと、時たま挟まれるシュールな笑い。ジメジメした湿度感から浮いているが私は好きでした。


演出 8/10
超有名(?)な「ノーノーノー」のシーンは表情セリフ共に抜きん出た完成度。ここだけでも見て欲しい。あとは、全体的に演技の緩急がしっかりついており、気持ち悪さを助長する良い演出になっていたと思う。
ジャンプスケアはかなり控えめでホラー苦手な人でも余裕でいけるが、物足りなさも。やるならもっとバーンとやってほしい。


オリジナリティ 4/5
『黒人差別』という題材に対し、これまでにない回答を用意したという点では素晴らしい。後半の展開はかなりとんでも系ではあるが、ギミックや真実は既視感あり。組み合わせてうまいことやってる感じ。


ジャンル性 4/5
イヤーな感じを味わうホラーとしてはかなり高レベル。だが、よしホラー見たい!と思ってこれが出てきたら少し期待外れかもしれない。


映像・美術・音楽 3/5
映像のクオリティは平均的。催眠にかかるシーンがなんかしょぼいなぁと感じたくらい。全編通してBGMは控えめ。前半のスローペースと合わせて集中が切れちゃうかも。


キャスト 4/5
おそらく意図的にテンプレートな黒人・白人をキャスティングしている。映画の題材とマッチしていて良き。
特筆するなら『ミーガン』にも出ていたアリソン・ウィリアムズ。特に後半の無機質な演技は凄まじい。


個人的加点減点 なし
やってることはめっちゃ面白いんだけど、あと一歩なんか足りない感じの映画。メッセージ性も強めなので、大衆向けの人気作品にはなれないが、刺さる人にはいつまでも刺さり続けるって感じの作品でした。