さとうきび

毒娘のさとうきびのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
2.5
多分誰も知らないだろうけど、井口昇監督の『少女ピカレスク』に出てくるヤバい女と同じ「ちーちゃん」なので、リスペクトなのかと思ったけど多分偶然ですね。


ストーリー 4/10
おそらくメインテーマであるはずの萌花の心境がブレまくってて違和感がすごい。ちーちゃん怖い!→でも好き❤️→やっぱ無理→いんや、私らズッ友!→よく考えたらそんなことなかったわ……って感じです。彼女に限らず、登場人物たちの心理描写が雑で行動原理が分からないシーンがいくつかありました。誰にも共感できない。
あと、警察無能すぎてリアリティがない。ラストの展開を見て、ちーちゃんがなんで少年院にぶち込まれていないのか理解できませんでした。


構成 4/10
無駄な要素が多く感じた。意味深なシーンだけ出して、伏線は回収されないとか。1回目に襲撃されても警察を呼ばず、2回目で呼んでやっと事情を知るとか。もっとコンパクトにして、その分登場人物の過去を深掘りしても良かったと思う。
無駄でいうと、継母と娘の関係とか、モラハラ気味の夫とか、家庭内不和はギスギス感あって好きだけど、尺が多すぎて少し胃もたれしました。


演出 5/10
ホラー的な演出があまりにもワンパターンだった。背景に赤い少女の影がぼんやり現れて、ハッと振り向くと誰もいないっていうシーン何回やるんだよという感じ。意図したものだとしても冗長すぎる。
褒める部分で言えば、モラハラ夫の解像度はすげえ高かったと思います。嫁には働くな、って言っておきながら、悪びれもせず会議で育児と仕事の両立が大事、とか言っちゃうところ、ほんと好き。


オリジナリティ 4/5
ちーちゃんの設計とか家庭の状況とかはすごく現代っぽくて新鮮さがあった。最近怪異と仲良くなる系の邦画が増えてる気がするけど、まだ希少なので甘めに採点。


ジャンル性 2/5
ホラーにしても家庭ドラマにしても中途半端。見にくる人はちょっと変わったホラーを期待していると思うので、もう少し思い切った舵取りをしても良かったのではないでしょうか。


映像・美術・音楽 4/5
シリアスな場面とのギャップを狙ったBGMの使い方が陳腐だと感じた。ちーちゃんのキャラデザとか衣装は下が体操服なところとか割と凝っていて好き。あとは、二階建ての家を正面から撮って、一階と二階で起こっていることを遠景で見せるっていう構図は面白かった。


キャスト 3/5
そこまでネームバリューはないキャスティングで可もなく不可もなし。伊礼姫奈さんはすごい頑張っていたと思います。佐津川愛美さんも悪くはないんだけど、役どころと致命的に合っていなかった。


個人的加点減点 −1
スタッフロール後に冒頭のシーンに繋がるような何かあるかなと期待してたんですけど何もなかったので。いや、絶対これ、そういうのやるタイプの映画でしょ。何でないの……?