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ゲット・アウトのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.5
居心地の悪さが的中して、スマートに掌で転がされる快感が凄く面白い!
確かにこの発想はリベラルにしかないかも。ここに出てくるのはオバマを支持するような人種で、彼らは"黒人"をその言葉に付随するステレオタイプごと愛している(憧れ=憎しみ)が、それが結果的に奴隷売買の時代にまで遡る結果となっているーーーーそれは現代の現実社会にも無縁なことじゃないかもしれない。最近の潮流・世相(ヒップホップ、ストリートカルチャーこそがクール、ドープ)をしっかりと取り込んで、見事な形でアウトプット・反映している。いかに白人が黒人を祭り上げ、彼らの生活を結果的に困窮させるか。しかも、それが作品の核にある、高齢化問題さえ。怖くて笑えて社会派で、演技も良くてアンサンブル。さすががっつりコメディ畑。同時にこの監督は演出的にも勉強熱心に違いない、とも思う(キッカリ25分置きにプロットポイントとも言える仕掛けが仕掛けられているらしい)。冒頭からすこぶる不穏な種の蒔き方が見事で舌を巻くし目を見張る、そしてやられたと息を呑む。不必要なミスリーディングとかは無い至極全うな作りで、既存の価値観には乗らないのが逆に新鮮。削ぎ落とされているのがよく分かり、無駄な台詞が一切無い!
本作には存在だけで客を呼べるネームバリューのある役者はいないと言っても過言じゃない。けど、その誰もが飛びっきりのパフォーマンスを見せ、画面を奪う。キース・スタンフィールドは近年で言えばドーナル・グリーソンのように作品に欠かせない見事な存在になった。そしてこれからもっとなっていくと思う。台詞がいちいち節々に意味を感じて、映像的見せ方も巧いから見せられる。そして、あっと言わされる。田舎・郊外の閑静な高級住宅街に抱く夢は儚く壊される。

「オバマに三期目があったら投票してた」ヒトラー「その体格と遺伝子構造だ」流行は繰り返す"Black is in fashion."「黒人がいて心強いと話してた」ignorance「口先だけで人の苦しみを分かっていない」盲目「また会おう」セックススレイブ What's the next move?
TOMATOMETER99%、AUDIENCE87%
Funny, scary, and thought-provoking, Get Outseamlessly weaves its trenchant social critiques into a brilliantly effective and entertaining horror/comedy thrill ride.

Sex Slave!!
勝手に関連作『サプライズ』
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