つかれぐま

ゲット・アウトのつかれぐまのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
5.0
17/10/30_TOHO新宿#4

”出ていけ!”

どうせ白人の黒人差別だろ、という固定観念を切れ味よく「斜め上に」裏切る。その一点めがけて集約していく物語的快感。

以下ネタバレ気味。

タイトルの Get Out「出ていけ!」は、ローズの両親からクリスへ(白人→黒人)向けて言われるのかと思いきや、まさかの寄生された黒人からクリスへ(黒人→黒人)の警告に他ならなかった。劇中、言葉として叫ばれたのはこれ一回だけだが、ラストシーンの「あの男」の自死は、自分の頭から悪魔を追い出す行為、つまり黒人→白人へ向けての”出ていけ!”だった。

元来差別意識が強い保守層だけでなく、一見友好的なリベラル層すら一皮剥けば、マイノリティーをこんな風に見ているかもしれないという恐怖。所詮マイノリティーの苦しみは、リベラル(オバマ支持層)にも、まして公権力(警察)にもわからない。それが分かるのは同じマイノリティー(俺)だけだ、とデブの友人が言う。「だから、言ったろ」はそういう意味か。

緻密な伏線を検証する二度目も楽しい。さすがアカデミー脚本賞だ。手術ネタと催眠ネタはそれだけ見ればチートにも程があるのだが、この巧みな構成の中にビルトインされると真実味を帯びて来るのが不思議だ。「アス」よりもうワンランク上のすごく良く出来たホラー。