つかれぐまさんの映画レビュー・感想・評価

つかれぐま

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メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

4.0

24/7/24@UPLINK#2
【曖昧な境界線】
乳白のベールが掛かったような映像。その役割は人物の輪郭を曖昧にするだけでなく、観る者の倫理観や、映画というメディアの正当性をおぼろげに・・そんな境界
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フェラーリ(2023年製作の映画)

4.0

24/7/18@イオン調布❶

経営者として、
夫として、
父親として、
「旧き良き時代」からの脱却a.k.a.アップデートを要求されるイタリア🇮🇹男の話だ。

愛情は完全に冷めきっているのに、共依存
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暴力脱獄(1967年製作の映画)

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COOL HAND LUKE

なかなか難解な作品で、公開当時の評価は微妙。後に続いた本作のフォロワー的作品が少しずつ解題していき、やがてカルト映画に・・・そんな想像が湧いた。

まず『イージーライダ
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

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82年初公開時は決して評価が高くなかったが、今では名作認定が揺るぎない作品。思うにその理由は、後に再編集されたディレクターズカット版やファイナルカット版が良かったからであり「時代が追いついたから」とす>>続きを読む

予兆 散歩する侵略者 劇場版(2017年製作の映画)

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同内容のドラマ版で。
黒沢清作品の半分は非現実な話なので、それに現実味を持たせる意味でかなりの演技力が要求されるのでは。『CURE』や本作のように。

プロットが『回路』と相似。
あちらは素人芝居のせ
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天国の日々(1978年製作の映画)

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全米撮影監督協会が選ぶ20世紀のベストにランクイン(8位)した作品。9位が『2001年宇宙の旅』なのだから、評価の高さが分かる。

自然光とマジックアワー。
この両方にこだわり撮影は長期化。途中で撮影
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ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期(2020年製作の映画)

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前作の余韻を味わうはずが、
死人に鞭打つ如きダメ押し、
コッポラ自身の私小説・・
全部やろうとしてカオスに。
コッポラが言う"Coda"を聴いた余韻には浸れず。

ただソフィア・コッポラ@ラジー賞!は
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

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前作は大傑作となったが、その表層の美しさだけを見て「男のロマンだ・・」などと誤読をした輩が少なくなかったそうだ。その反動か本作は絶望を揺ぎなく描き、誤読の余地を残さない。

デニーロ演じる若きビトーの
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マンハッタン(1979年製作の映画)

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ウディ・アレンが自らを露悪的に演じるのは、こんな矮小な男でも居場所がある・・ニューヨークという街のフトコロの深さ。それを美しく豊かに描くためだろう。だからストーリーはあって無いようなもので、主役は街の>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.5

24/6/27@ル・シネマ_7F

1970年を舞台に映画のパッケージングも当時の雰囲気を再現している懐かしさ。そんな郷愁に浸る間もなく、この映画が過去の礼賛ではなく、逆に負の側面についての話だと気付
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

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『彼岸花』『秋日和』そして本作。二年おきに作られたこの三作はいずれも娘が嫁ぐ話であり、同じ小料理屋に集う面々など、ゆるやかに世界観を共有する。タイトルに「秋」の要素が入っているので「秋の三部作」と呼ぶ>>続きを読む

秋日和 ニューデジタルリマスター(1960年製作の映画)

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同じ原節子主演『東京物語』の精神的続編のように思えた。あのラストで示唆された紀子と義妹のシスターフッドが、本作の母娘に託される。原節子は今回もまた未亡人

嫁ぐ娘・アヤ子と母・秋子のエエ話になるのかと
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お早よう(1959年製作の映画)

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🔴無駄がある豊かさ🔴

前作からの色彩美と同様に、今回の見所は構図。人と人との距離や、どんどん狭くなっていく東京の空を表現する構図の多様さに飽きない。

話の軸は「テレビを買ってくれ」とねだる子供とそ
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彼岸花 ニューデジタルリマスター(1958年製作の映画)

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🔴赤いヤカン🔴

偶々観た『秋刀魚の味』が面白かったので、小津安二郎のカラー作品をちゃんと掘ってみたくなった。本作はその1作目。主人公は娘の恋愛結婚を許さない頑固な父・平山。その妻+娘+娘の友人ら女性
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蛇の道(2024年製作の映画)

4.0

24/6/19@UPLINK吉祥寺❹

復讐譚に絡みつく、
逃げない者から見た、逃げる者たちのどうしようもなさ。

終盤までサヨコの動機は解らぬままだった。オリジナルを見ないで臨んで大正解。見終えて振
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雨あがる(1999年製作の映画)

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「黒澤明の雨」があがる

スローテンポで、時間が川のように流れていく。メンタル不調だったある時期、何度も観て救われた作品

脚本は黒澤明の遺稿。
実力が「あり過ぎる」ゆえ不遇の日々を送る浪人・三沢。そ
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.5

24/6/06@イオン調布:IMAX
24/6/12@丸の内ピカデリー2

赤💥と緑🌳が象徴するもの

フュリオサがデスロードの闘いを終えた後に語った物語。そこにジョージミラーの解釈と自己批評が加わっ
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カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

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プロレスには殆ど興味ない自分にも、これは面白かった!

いきなりファイトシーンから始まるが、試合後に心無い観客が「脱いだ方がいい」とヤジを飛ばす。そんな輩に中指を立てる「ドールズ」。本作の心意気が凝縮
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関心領域(2023年製作の映画)

3.0

24/5/29@UPLINK吉祥寺❸

音響≒環境音で地獄を想像させる素晴らしいアイデア!何も起こっていないはずの序盤の緊迫感が凄い。ただ、話がなんとも平坦なので「出落ち感」は否めず。予告編を越えては
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卒業(1967年製作の映画)

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【スノッブへの強烈な皮肉】

花嫁強奪のラストが鮮烈すぎてテーマがぼやけるが、白人スノッブたちの「奇行」の数々を皮肉たっぷりに見せるセックスコメディー。

政治の季節を淡々と過ごす主人公。成績優秀だが
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ロボコップ(1987年製作の映画)

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良く出来た変な映画

警察が民営化された「ありえる」近未来のアメリカ。警察vs街の悪、オムニ社内の権力闘争、ロボコップvs兵器ロボット、と様々な戦いが絡み合うのだが、それを混乱なく短尺にまとめて資本主
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.5

24/5/23@イオン多摩❹
【午前十時の映画祭】
外国人監督の撮るアメリカロードムービーにハズレなし。本作も『テルマ&ルイーズ』も(我々非米国人が観たい)アメリカをカッコつけず、無邪気に、てらいなく
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

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メリックの母親が妊娠中に象に踏まれる回想。これは見世物小屋の前口上に過ぎず事実ではない。そんなシーンで始まる本作は、この映画自体が見世物であることに極めて自覚的と感じた。

子供の頃に見た記憶は、メリ
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リトル・ダンサー(2000年製作の映画)

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『コーダ』を見た時に『シングストリート』みたいだなと思ったが、その両作ともに本作からの影響が大きいな。
ビリー少年だけでなく、後半大人たちの心もちゃんと拾っていくのがオジサンには嬉しい☺

ラストの演
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レオン(1994年製作の映画)

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<オリジナル版>
中年男レオンと12才の少女マチルダ。この二人の背徳的関係をどう思うか(許せるか)?を問う映画。「殺し屋稼業」がこの関係が生まれた特殊性に説得力を持たせる。

親・姉・学校・友人・・マ
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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

4.0

24/5/15@吉祥寺オデヲン❺

前3部作の英雄シーザーに敬意を払いつつ、数世代先の物語を紡ぐ新たなアプローチ。レガシーを再利用ではなく知恵を絞って「活用する」理想的続編だ。次はいっそこの100年後
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情婦(1957年製作の映画)

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旧い白黒作品なのに、4.2という高スコア。なるほどこれは、後進がリメイクを尻込みする完成度の高さ。2時間以内にまとまっている名人芸に👏

遺産目当ての未亡人殺害の容疑者・レナード。なぜか検察側の証人に
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トワイライトゾーン/超次元の体験(1983年製作の映画)

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家族が寝静まった夜、さくっと楽しめたオムニバス4話。劇場公開作だが、オリジナルがテレビシリーズのためか、ビスタサイズの画作りはテレビ視聴向け。80年代らしさが詰まっていて懐かしい。こういう楽しい企画が>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

24/5/9@ルシネマ渋谷宮下❼

これまで都市生活者を点描してきた濱口監督が、一転して山間集落を舞台に。自然と共存・・その「白々しさ」を突きつけられた思いだが、その矛先は都会の人間にだけ向けられたも
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ゴジラ(1954年製作の映画)

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ゴジラのモノクロ版がなぜか連続配信されているが、こちらは元祖。重厚な映像が、暗いテーマとあいまって計算外の神話性をまとう。

考察界で有名なゴジラ英霊論
ー今回それを意識して視聴したが、なるほどもっと
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野良犬(1949年製作の映画)

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『ゴジラ-1.0』を観て連想した一本。戦後の焼け跡をこれほど生々しくキャプチャーした作品はない。
数十年ぶりに観たが各シーンをしっかり覚えていた。本作をリファーした多くのハリウッド作品が度々リマインド
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がんばれ!ベアーズ(1976年製作の映画)

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【こどもの日に】
少年野球チームの話ではあるが、決して勝利の喜びや、チームワーク・友情の大切さといった、ありふれたテーマのための作品ではない。むしろそういう「少年ジャンプ原理主義」が苦手な人にこそ響く
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ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)

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なんて可愛らしい映画。
孤児アディと(父親なのかもしれない)詐欺師の珍道中。どんどん成長していく少女の変化を演じ分けるテータム・オニールの天才子役ぶり。

冒頭こそ詐欺師モーゼの視点だが、すぐに映画は
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回路(2000年製作の映画)

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眠かった。
大半が暗闇の映画なので劇場鑑賞向きではあるが、わざわざ足を運ぶ価値があるかは微妙。インターネットが何者か?分かっていなかった時代の作品なので、今観るとちょっとね。

説明できないものの怖さ
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CURE キュア(1997年製作の映画)

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日常に潜む(隣り合わせの)非日常。このテーマは黒沢清が第一人者だな。今や日韓のエース、濱口竜介とポンジュノもその影響が大きかったと語り、後者は本作を『殺人の追憶』の参考にしたそうだ。

仮タイトルは「
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マッドマックス2(1981年製作の映画)

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暴走族に狙われる製油所。
孤高の主人公マックスは成り行きで製油所の人々に加勢することになるが・・。物語の構造は「ひとり七人の侍」。あ、一応ジャイロキャプテンもいるか。

前作がとても苦手だ。
マックス
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