ブタブタ

ゲット・アウトのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

~戦慄の人種差別ホラー~
見終わってみてあー成程と、「ブラックジョーク」「ブラックコメディ」とはこの映画自体にも掛かってるんですね。

何度も出てくる、白人キャラクターが言うセリフ「オバマに3期目があったら投票してた」と言うワード。
この一言は現在キチガイが大統領をやってるアメリカの白人リベラル層の人々を端的に表してると思うんです。
差別はいけないと口では言いながら現実にはあんな差別主義者が大統領やってるし本音ではおまえらだって差別したいと思ってるんだろうと。

現大統領のキチガイは自分の名を冠したタワーと建てたり、メキシコ国境に壁を築こうとしたりやってる事が本当にデスレースやハンガーゲーム等B級映画に出てくる独裁者みたいで、ああいうわかり易い人を自分らのリーダーに選んじゃう所も所謂白人リベラル層の自分達は頭いい意識高い系と言いながら「こいつら本当はバーカ!」と言う監督の叫びが聞こえて来そうです。

そう言えばテクノスリラー『ミスターロボット』では『ハンガーゲーム』が「スタバ」「Facebook」と並んで「そういう人達」が好きな物として馬鹿にされてましたが。

低予算で面白いホラー・スリラー映画を次々とヒットさせているジェイソン・ブラム制作作品と言う事で見る前の大評判からして大勝利確定でしたけど本当に面白い作品でした。

『イット・フォローズ』『ドントブリーズ』の系譜に入るサイコスリラー映画でした。

白人女性ローズは肉体・頭脳・才能等、優秀な黒人男性を次々に引っ掛けては騙して自宅に招きその肉体を「入れ物」として競売に掛けるという、でもやってることは前時代のアメリカの黒人奴隷の売買とさして変わらないですね。

この「健康な若い肉体を手に入れる為に脳を入れ換える」と言う話し、真っ先に思い出したのが楳図かずお作品『洗礼』何ですが『ゲットアウト』では脳の中枢神経?は残して記憶等の部分のみ入れ換える??手術の為に元々の本人の部分も肉体に残り強い光りやショックで一時的に元の人格が外に出るって設定が恐怖でした。
完全に死ぬ事も出来ずずっとあの「水の底」みたいな場所に閉じ込められてると言うのが。

予告編であのシーン(クリスが四角い窓?から何処かの空間に落ちていくシーン)を見たのでこれは「クトゥルー」とか途中からトンデモSFホラー系の展開になるのかと内心思ってました。

冒頭のクリスがローズの実家に行くくだりは、自分が彼女の家に初めて招かれた時や結婚の挨拶に行った時の事を思い出して胃が痛くなりましたが(笑)ましてや人種が違う黒人のクリスが白人だらけの所に向かう不安と恐怖は、今も現実にアメリカ社会に当然あるものだし誰が大統領になろうがコレも劇中で出てくる「遺伝子が違う」事から来てる問題なので人種差別に関しては永遠に解決する事はないのでしょう。

不安や緊張や恐怖・謎が延々と続き、クライマックスのクリスの逆襲が始まる訳ですがこれまでの鬱憤を晴らすかの如くクリス無双でまるで『悪魔のいけにえ』で囚えられた被害者と加害者が逆転したみたいにクリスが白人どもを皆殺しにするのですが、いつも思うのですが「鹿のツノ」ってあんなにキレイに人間に刺さるのでしょうか?
ホラー映画ではライトセイバーみたいにいつも簡単に人間を串刺しにするので。

それとクリスの親友ロッドが本当に良いキャラクターで『スパイダーマンホームカミング』のネッドと同じく「太ってて良い奴でネットを駆使して主人公を助ける有能なキャラ」でした。

解説サイトによるとラストは2パターンあって、パトカーでやって来たのはロッドでなく他の警察官で殺人犯として捕まってクリスが刑務所に入れられる、でも正直その方がありきたりですし公開版の方がスッキリしてます。
駆け付けたロッドが「だから止めろって言ったんだ」と、これ程の信じ難い惨劇が起きてるのに白人黒人の人種間の問題としてこのくらい普通にある事みたいな感じの態度なのがおかしかったです。
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