やっちゃん

デヴィッド・リンチ:アートライフのやっちゃんのレビュー・感想・評価

3.0
この映画は、リンチ監督のあの少し高い声と丁寧でゆっくりした話し方で語られる。彼の話し方は日本人の私から聞いても独特で、聞いているとまるでリンチ作品の夢のなかにいるようでもある。このドキュメンタリーの功は、他者の声を介入させていないことによって、より深く彼の世界に入り込むことができる点だろう。

また、リンチ作品を鑑賞する上で重要なイメージやアイデアを氏のインタビューのなかから窺い知ることができた。イザベラ・ローセリーニの全裸シーンや、永遠と続く車線など氏の作品中の象徴的シーンが、体験から来ていたことは驚きだ。

リンチはカルト的な人気を誇るが、個人的には作品中のなにかほのぼのした感じ、温和な空気感や人の善意みたいなものも心地よく好きだ。このドキュメンタリー映画のなかでリンチと幼い娘がアトリエで肩を並べているところや粘土で一緒に遊ぶ風景に、「なにかほのぼのした感じ」がして嬉しかった。
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