櫻イミト

女子大生 悪魔の体験入学の櫻イミトのレビュー・感想・評価

女子大生 悪魔の体験入学(1973年製作の映画)
3.5
「サスペリア」(1977)の元ネタと言われる女子寄宿舎オカルトホラー。パメラ・フランクリン主演の“女子大生シリーズ”第二弾。脚本は「大アマゾンの半魚人」(1954)のアーサー・A・ロス。原題「Satan's School for Girls:悪魔の女学校」。

妹の自殺に疑問を抱いたエリザベス(パメラ・フランクリン)は、真相を探ろうと妹が在籍していたマサチューセッツ州セイラム学園に寄宿入学する。怯えた表情の妹の肖像画、強迫観念に取りつかれた心理学教授・・・次々と直面する謎と違和感の中、友人になった女学生ロベルト(ケイト・ジャクソン)の協力で真相に近づくが。。。

こぅ様のご紹介で鑑賞。学園オカルト・ホラーの先駆となる優れた掘り出し物だった。

マサチューセッツ州のセイラムと言えば史実“セイラム魔女裁判事件” で有名な土地。その名を冠する学園での授業が“現代美術と錯覚心理”“モルモットの迷路実験”と、ビジュアル面ではサイコロジカルなムードを高めミスリードを誘っていく。悲し気な顔をした妹の肖像画や地下倉庫の怪しげな演劇用仮面といった小道具も学園ホラーならではのギミックとして効いている。落としどころは現在となってはオカルトものの定番なのだが、これが先駆であることは映画史的に記憶されるべきだろう。

本作はテレビ用の映画として作られたということで、数回のCMタイミングにわかりやすくクリフ・ハンガーが用いられていた。その度に主演パメラ・フランクリンが限界まで顔を歪めて恐怖の表情を作っているのが意地らしい。周囲の学生役も存在感があり、メインの友人役を演じたケイト・ジャクソンとシェリル・ラッドは、後に初代チャーリーズ・エンジェルズ(テレビ版)を務め人気を得たとの事。

デヴィッド・ローウェル・リッチ監督は知らなかった。手慣れた演出だったので気になって調べたところ、映画やテレビを100本近く手掛けたキャリアの持ち主だった。プログラム・ピクチャー時代の職人監督はデーターも作品も保存されていることが多いが、テレビ畑の職人監督は埋もれがちだ。本作のような1970年代以降の隠れた良作は彼ら実力者の手によるものが多いのだと思う。インターネット配信時代をきっかけに、眠れる傑作が発掘保存され再評価アーカイブ化されることを期待したい。

※主演パメラ・フランクリンは日本の神奈川県横浜市生まれ。父親が貿易業を営んでいたため世界を転居し、11歳の時にイギリスの名作ホラー「回転」(1961)のフローラ役で映画デビューした。
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